◎地域便り


クローン牛が2頭誕生

宮崎県/前畑 嘉里(よしさと)
 宮崎県高たか原はる町の県畜産試験場では、 平成4年度から取り組んでいた受
精卵の核移植によるクローン牛の作出に成功し、 このたび2頭が誕生した。 九州
においては鹿児島県での2例に次いで3例目である。 この技術は、 優れた遺伝子
を持つ1つの受精卵から、 複数の核移植卵を造ることで、 いくつもの優れた個体
の生産につながるため、 実用化に向けての期待は大きい。 

 核移植の方法は、 16から32細胞期に成長した受精卵の卵細胞を分離し、 その1
個1個の細胞を除核した成熟卵子と融合させて核移植卵をつくり、 その後、 1週
間かけてこの核移植卵の培養を行い、 移植する。 成熟卵子については、 予めと畜
された雌牛の卵巣内の未成熟卵子を培養、 成熟させて除核しておく。 

 今回は、 このようにしてつくられた5個の核移植卵のうち、 2個を昨年の10月
11日に同町内の2戸の酪農家の移植可能な乳牛にそれぞれ移植した結果、 今年の
7月15日と20日に25.5キログラム、 35.0キログラムの雌牛が生まれた。 

 今後は、 核移植卵を安定的に作出するための試験研究に取り組みたいとのこと
で、 当面は、 今回の2頭より多い、 3頭以上のクローン牛の作出が目標となる。


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