◎地域便り


削蹄をもっとらくに

宮崎県/伊藤 誠
 削蹄は肉用牛にとって大切なことで、 削蹄によって体重が四肢に均等にかかる
ようになる。 このため体型や体勢が安定し、 疲労を防ぐため、 増体重が良くなる
ことやまたぐされ (指間部に現れる皮膚炎) の予防など、 数々の効果がある。 

 四肢をかわるがわる持ち上げて作業するが、 1頭を終えるまでに約40分もかか
るため、 技術はもちろんのこと体力も必要となる。 特に、 夏場は汗が滝のように
落ちる大変な作業となる。 

 宮崎県延岡市二ツ島で肉用牛100頭を肥育する佐保(さほ)康俊さん (48) は、 
宮崎県農業共済組合連合会指定の削蹄師だったが、 数年前に腰を痛め、 最近では、 
削蹄から遠ざかっていた。 

 しかし、 農家の依頼も多く、 持ち前の責任感も強いことから、 何とかならない
ものかと考え、 近くに住む柳田邦治さん、 那須敏行さんの3人でウィンチ付き移
動枠を考案した。 完成したウィンチ付き移動枠は、 長さが約3メートル、 幅1メ
ートル20センチ、 高さ3メートル、 重さ20キログラムの大きさで、 15万円をかけ
て、 完成した。 

 ロープを牛の足に掛けてスイッチを入れるだけで、 電動式のモーターが作動、 
ロープが巻き上げられると同時に、 前・後肢とも楽に上げられるという仕組みで、 
簡単に削蹄ができる。 この削蹄枠の完成により、 現在では1頭当たりの削蹄は約
20分で終わり、 省力化につなげることができた。 

  「腰に負担がかからず削蹄ができるので、 今後は、 削蹄依頼にこたえられます」 
と佐保さんは話している。

【削蹄が楽にできるウインチ付移動枠】


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