◎地域便り


黒豚にこだわり続けて35年

鹿児島県/山路 正則
 7月31日に新潟県で開催された第45回全国農業コンクール全国大会 (毎日新聞、 
富民協会主催) において、 「黒豚へのこだわり」 と題して発表した鹿児島県大お
お口くち市しの沖田速男さん (64) が、 最高の名誉賞を受けた。 

 沖田さんは、 自作地4ヘクタールのほかに国有林11ヘクタールを借り受け、 黒
豚の母豚63頭を飼養し、 年間850頭の肉豚を出荷する繁殖肥育一貫経営を営んで
いる。 大型種が奨励される中で、 昭和35年から一貫して 「かごしま黒豚」 にこだ
わり続け、 カンショなどの単味飼料や食品製造粕を利用した自家配合発酵飼料の
給与や、 放牧場での肥育豚の放牧など飼養管理面でもこだわりがある。 増体など
生産効率だけを追い求めるのではなく、 黒豚にこだわりつつ、 安全性と肉質を追
い求めたことが今回評価された。 

 また、 沖田さんは、 「かごしま黒豚」 の生産者が相互に連携し、 安全でおいし
い豚肉の生産と、 「かごしま黒豚」 の銘柄確立を図ることを目的に設立されてい
る 「鹿児島県黒豚生産者協議会 (会員140名)」 の会長も務めており、 黒豚生産者
の代表として陣頭に立っている。 

 さらに、 消費者との交流を図るため 「産直販売」 にも取り組んでおり、 流通業
者からは 「何頭でも良いから販売してほしい」 との依頼が多い。 今後、 母豚を15
0頭まで拡大し、 年間2,000頭の肉豚を出荷できる体制を整備し、 生産から販売ま
でのシステムを強固なものにしたいと考えている。 

 将来的には、 地元で生産される有機野菜や米と一緒にこだわりの豚肉を販売す
る店舗や、 安全な食材を用いたおいしい食事を提供できるレストランが整備でき
たらと、 遠く霧島連山を望みながら夢を膨らませている。 

【黒豚にこだわる沖田速男さん】


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