◎地域便り


ヨットレースで雌牛をプレゼント

鹿児島県/日高 真吾
 鹿児島県鹿児島郡三島村は鹿児島市から約100キロ南方に位置し、 竹島、 硫黄
島、 黒島の3島から成り、 肉用牛の周年放牧による子牛生産が営まれている。 

 8月3日に三島村沖において第6回 「MISHIMA CUP ヨットレース」 が開催され
た。 この大会は平成2年から実施され、 村民一体となった手づくりイベントとし
て定着、 県内外の評価も高まり平成6年11月に国土庁長官賞を受賞している。 今
年は35艇の参加があり、 地元の人々とのバーベキューパーティーなど各種イベン
トとともに盛大に開催された。 

 この大会の参加賞はユニークで、 第3回大会から参加賞として抽選でヨットマ
ンに雌子牛がプレゼントされている。 これまでヨットマンに贈られた3頭の雌牛
からは、 既に6頭の子牛が誕生しており、 「村の畜産振興に役立ち、 一石二鳥」 
と、 ヨットレースを利用した島おこしが軌道に乗っている。 

 ヨットマンに贈られた雌牛は 「預託」 の形で村の畜産農家が育て、 第1子が産
まれると9カ月間程度育成された後市場に出荷され、 その販売代金がヨットマン
に贈られ預託は解消される。 親牛と第2子以降の子牛は預託農家の所有となる仕
組みである。 

 平成4年に贈られた最初の雌牛からは既に3頭の子牛が生まれ、 第1子の子牛
販売代金はヨットマンに贈呈され、 残り2頭の子牛販売代金が農家の収入となっ
ている。 

 預託を受ける農家は申込者の中から抽選で決定され、 今年は5名の申込みがあ
った。 肉用牛の増頭を図るとともに、 血統の良い繁殖雌牛を揃える目的もあり、 
去年と今年は、 県内で最も人気の高い種雄牛である 「神かみ高たか福ふく」 の産
子がヨットマンに贈る雌子牛に選定されている。 

 三島村の子牛は、 以前は家畜商との相対取引であったが、 昭和63年から県本土
の市場へ出荷されるようになった。 その当時の繁殖雌牛頭数は280頭であったが、 
現在では507頭まで増加している。 


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