◎地域便り


肉用牛ヘルパー利用推進検討会開催

栃木県/杉井 拳
 栃木県は今年2月に県内で肉用牛ヘルパーの導入を検討している農協、 関係市
町村及び関係指導機関の担当者を集め、  「肉用牛ヘルパー利用推進検討会」 を開
催した。 

 最近、 肉用牛経営者の高齢化に伴う労働力不足が切実な問題となり、 組織的な
対応ができないという声があがっていた。 県では、 肉用牛の生産振興を図るため、 
事業の創設を検討していたが、 平成5年に県北の農協が組合員等の相互扶助によ
るヘルパー制度に取り組み始めたことを契機に、 6年度から 「肉用牛ヘルパー推
進事業」 を開始した。 

 現在まで12の農協等が事業に取り組み、 ヘルパーの利用推進を行ってきたが、 
検討会当日は利用状況、 事業効果及び問題点等について積極的な意見交換が行わ
れた。 

 問題点としては、 利用料金の設定、 ヘルパー要員の確保、 飼料給与技術等があ
げられ、 「酪農 (乳代) と違い日々の利益が見えないので、料金を払うのに抵抗が
ある」 「飼料内容を他人に知られたくない」といった理由で利用が進まないところ
があった。 中には、 農家から「農協が手伝うのはあたりまえ」 「肉牛経営を開始し
た際に、 家族全員での休暇はあきらめた」 と言われたとの意見も出され、 地域に
よってはヘルパー制度の定着にはまだ時間がかかると痛感させられた。 

 しかし、 大多数の農協からは、 市場出荷の際などにヘルパーが農家の重要な支
援組織として定着してきているとの意見が出された。 ある農協の担当者からは、 
「中山間地域にとって肉用牛は重要作目だが、 高齢化が進み、基盤が揺らいでいる
のが現状。 和牛は高齢者でも飼養管理はできるが、 出荷は危険が伴う。 しかし、 
ヘルパー制度の導入により出荷時の問題も軽減され、 農家も非常に喜んでいる」 
とのコメントがあり、 肉用牛ヘルパーの導入を推進している者として、 参加者全
員が勇気づけられる思いだった。 

 肉用牛ヘルパー制度が、 栃木県の肉用牛振興の一方策として重要な役割を担っ
ていく手応えを感じた一日であった。 

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