◎地域便り


農協のリース牛舎で和牛規模県一

鳥取県/山崎 和夫
 鳥取県東伯郡東伯町は、 果樹、 野菜、 芝、 畜産と多彩に産地化した農業どころ。 
ここでオーナーである父 (生田英則さん、 52才) と共に繁殖和牛88頭 (母牛では
県下1位)、 育成牛6頭、 子牛60頭を飼育する和史さん (30才)。 自宅のすぐ側の
牛舎で母牛のうち19頭と、 自宅から約2km離れたJA東伯の草森団地のリース牛舎
3棟で69頭をほとんど1人で管理している元気な認定農業者だ。 

 牛の観察、 飼料給与、 敷料の出し入れなど毎日8時間は走り回っている。 和史
さんは農業高校在学中に人工授精師の資格を取得、 自家の牛はすべて自分で種付
けしている。 就農後、 だんだん腕前も上がり、 繁殖成績も向上した。 また、 以前
は受胎率の低い牛はとう汰するため牛の売り買いがかなり多かったが、 受胎率も
向上し、 自家生産が可能となり、 牛の移動は少なくなったとのことだ。 

 経営の特徴は自給粗飼料の増産と多給にある。 春はイタリアンライグラス5ha、 
夏はローズグラス6haとスーダングラス0.6aをラップサイレージに、 またデント
コーン1.5haをブロックFFRP (強化プラスチック製サイロ)でサイレージにしてい
る。 

 また、 稲ワラ8ha分を近隣農家から購入、 一部は生ワラをラップサイレージに
している。 

 父の英則さんは当初、 乳用種の肥育を行っていたが、 77年頃から肥育部門を
徐々に縮少、 繁殖和牛の増頭を図り今日の基盤を築いていった。 87年から和史
さんに繁殖部門を全面的に任せているが、 長年の経験から牛の観察だけは、 毎日
欠かさず励行している。 

 その他に英則さんは、 地域の特産物、 芝の栽培3haと農協委託のブロイラーの
集荷作業をほぼ毎日行っている。 

 負債がほとんどなく、 円滑な規模拡大が可能であったのは、 農協所有のリース
牛舎があったこととブロイラーの集荷、 芝の収入のおかげである。 

 このことからも、 和牛は規模の大小を問わず経営の 「複合化」 の路線を歩む性
格をもっているように思われる。 

 しかし、 和史さんは 「労働力や牛舎に余裕があれば120頭位まで飼いたい」とス
キー、 マラソンで鍛えたスポーツマンらしく、 目を輝かせながら語っていた。 


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