◎地域便り


飼料センターでとうふ粕等を有効利用

神奈川県/川西 隆智


 神奈川県の南東部に位置する三浦半島は三方を海に囲まれた気候温暖な地で、
大根やスイカ、キャベツといった農作物や高級牛肉の産地として、東京や横浜な
ど都市圏の需要に応えている。

 この地域の肉用牛肥育農家は、以前から、残飯やとうふ粕等の食品製造副産物
を生かした飼料で、肉質の優れた牛肉生産を行っており、神奈川県ブランド「三
浦葉山牛」もこのように生産されている。ただ、このような飼料は水分が多いた
め、とかく仕上がりにバラツキが生じやすく、銘柄維持のためには生産者が平均
した肉質を作り上げる必要があり、試行錯誤を繰り返してきた。平成5年度には、
距離的に近い肉用牛生産者5戸が集まり、農林水産省と県の補助を受けて、混合
飼料調製施設、混合機械及び運搬用トラック等を整備した。

 飼料の調製は組合員が1日置きに交代で行い、配合飼料や圧扁大麦、とうふ粕
等9種類の飼料、2日分約1,900kgを2回に分けて混合かくはんし、200リットルと3
00リットルのコンテナに分配した後、三浦市、横須賀市、葉山町に点在する各組
合員宅へ必要量に応じて配送している。混合調製から配送までの一連の作業は、
当番の組合員が1人で行うが、その作業工程は混合調製で104工程、約2時間30分、
組合員5戸に対する配送・積み下ろしは走行50km、約2時間30分となり、朝8時か
ら始めた作業が午後1時にやっと終わるというハードなスケジュールになってい
る。この作業を1人の組合員が月3〜4回行うこととなるが、組合として4日分をア
ルバイト雇用で対応し、また、個人的にもヘルパーを頼む場合もあるとのことで
ある。

 この飼料センターの効果であるが、何と言っても枝肉成績が向上したことであ
ろう。3年度から10年度までに出荷した組合員5戸の肥育牛(和牛、F1)の肉質
等級、枝肉重量、枝肉価格等が、事業開始した6年度以降、向上・安定しており、
固定した飼料内容での継続使用、よく吟味された配合割合等が要因と思われる。
グループ購入による飼料価格の低減、作業時間の減少等々多くの効果がある一方
で、飼料調製労働や飼料原料費の値上がり等の問題もあるが、優れた牛肉の生産
を続けてほしい。

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【2日分約1,900kgを調製】
【組合員に配送、これから走行50km】

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