神奈川県/川西 隆智
平成11年度神奈川県乳牛共進会が天高く秋風心地よい10月24日に神奈川県家畜 集合センターで開催された。県内19市町から勝ち進んできた乳牛は未経産牛から 経産牛まで143頭、それぞれが各地域の期待を一身に浴び、チャンピオンを目指 しての戦いとなった。 さすがに地方で優秀な成績を得て選抜されてきたものらしく、体型や資質とも 素晴らしい能力を持った牛ばかりで、子牛は元気で、若々しく、雌牛らしい表情 に満ち溢れていた。育成牛は、子供でもなく、大人でもない、微妙な時期であり ながら、乳用牛としての能力を十分に備え、将来性のある体型と大きさの牛が多 く、将来が楽しみである。経産牛は、母親らしい優しさの中にも良く張ってピン ク色に染まった乳房を持つものが多く見られ、その生産能力の強さが体からも漂 ってくるような立派な牛ばかりであった。なお、各部優秀賞の中から秦野市の多 田薫氏の経産牛がグランドチャンピオンに選ばれ、栄えある農林水産大臣賞を獲 得した。 最後に、審査員である家畜改良改良事業団岡山種雄牛センターの松原氏から 「体型、大きさ、資質、能力ともに申し分のないレベルの高い乳牛ばかりで大変 驚いている。これからも精進して立派な牛をつくって欲しい」とのコメントがあ り、大きな拍手で終了した。 本県の酪農は歴史が古く、明治初期に横浜で行われていた牛乳生産が我が国最 初の酪農業と言われている。その歴史に支えられ昭和40年代には4万5千頭もの乳 用牛がいたが、現在では2万頭強に減少している。そんな状況の中でも酪農経営 に励む強くたくましく優しい人達はみんな牛が大好きで、毎日新鮮な生乳を搾っ ているだけで幸せになれるのである。この日も手塩に掛けた自慢の牛をより一層 美人に見せるため、体をシャンプーで洗ったり、背中の毛を刈り、爪を切り揃え たりと、自分の愛する牛のため、真剣な表情で取り組んでいた。 当日は隣接する県畜産研究所で施設公開もあり、参加者は家畜に触れたり、畜 産加工品作りを楽しんだりした後、シャトルバスで結ばれた共進会場にも足をの ばし、都市では容易にみられなくなったたくさんの乳牛に目を細めて見入ってい た。
【う〜ん。どれもすばらしい。】 |
【審査中です。】 |