福井県/井部 正興
大野市南六呂師の六呂師高原振興会(集落の全戸が参加)では、宿泊施設(六 呂師ハイランドホテル)の経営を行っている。春はレンゲツツジ、秋はすすき、 そして冬はスキーである。 当地区では昭和33年より南六呂師放牧農協(集落の全戸が参加)を設立し、ス キー場等の野草地に和牛の放牧を導入した。その後、和牛の放牧は中止され、ス キーシーズン前のすすき等の草刈りは大変な苦労であったという。 その後、46年には、県営牧場が設置され、乳用育成牛の放牧が行われ、すすき 等の草刈りはしなくてよくなった。畜産(牛の放牧)とスキー場経営の複合活用 が復活したのである。 スキー場の麓には、52年に会員の中の5戸で設立された農事組合法人によって 「奥越酪農団地」(乳用牛200頭)が造成された。いまでは六呂師ハイランドホ テルを利用するハイカー、宿泊者等にモーモーアイスクリーム&ミルクを販売し て喜ばれている。 平成2年からは大野市の委託を受けて、スキー場に隣接したミニ動物園(ポニ ー、綿羊、山羊、鶏、兎等)の管理をしている。 しかし、近年、各地での各種イベントのマンネリ化もあり、来訪者のニーズも 変化してきていると思われることから、今回、年間を通じて来訪者に喜んでもら えるようにスキー場ゲレンデの一角に一辺が30mの星型の花壇を設置した。ハー ブで高原のさらなる活性化を図ろうと、7月上旬にブルーセージ、フェンネル等 30品種のハーブや色取り用の花苗15,000株を植栽した。六呂師高原は、環境庁主 催の星のきれいな町コンテストで全国第8位となった実績もある。夏休みの終わ り頃から花が咲き始め、10月上旬頃まで、夜空の星牧場、酪農団地、ミニ動物園 、緑の牧草地と色あざやかなハーブの花壇とのコントラストは来訪者の心にやす らぎを与えている。 ハーブ類は人間に観賞用、嗜好品等としてブームになっているが、ニュージー ランド、ヨーロッパ等ではハーブ類の中のヘラオオバコ、ヒメスイバ、野生ニン ジン等が家畜の健康維持増進効果のある飼料草として、牧草類と混播して利用さ れているという。特にヘラオオバコは抗寄生虫、抗菌、抗炎症等作用があり、ミ ネラルバランス等の改善も図られ、家畜の諸傷害に対する抵抗性を高めて健康を 維持することが考えられる。そういったことから、当振興会では、六呂師高原を ハーブの里として作付面積を拡大し、酪農団地の乳牛にも給与し、健康な牛から 生産されるハーブ牛乳として消費拡大を図ろうという取り組みを検討している。 ハーブと畜産との有機的結合による地域の活性化の取り組みが始められている。
【星型花壇ハーブスター】 |