秋田県/工藤 孝夫
全国に125ある銘柄鶏の中でも秋田比内地鶏は名古屋コーチン、薩摩鶏と並ん で日本三大美味鶏の1つに数えられ、全国で最も値段が高い鶏肉である。秋田比 内地鶏の魅力は、放し飼いによる肉質と脂肪の良さにある。 今後も需要拡大が期待できることから、秋田県では現在の24万羽から平成22年 には35万羽出荷体制になるように、ひなの供給体制の整備、特定JAS規格に対応 した飼育マニュアルの作成、飼育簡易鶏舎の整備、販路拡大方策等の実施を進め ている。 秋田比内地鶏を核として短期間で生産販売を伸ばした北秋田郡合川町の優良事 例をご紹介する。 合川町の秋田比内地鶏の生産は、昭和62年に一村一品として開始された。地域 の特性を活かし、転作田の有効活用と高齢者の生きがい対策としては手間いらず で最も有利ということで選択された。開始当初は飼育経験者が一人もおらず、ゼ ロからのスタートだったが、試行錯誤を繰り返し、畜産試験場を中心とした関係 機関の一体的支援を受け切り抜けてきた。この間、補助事業を活用したパイプハ ウス鶏舎の設置等によりスタート時2,600羽から現在19戸で44,000羽まで飼育羽数 が伸びている。 当初は生肉出荷が中心だったが、現在は郷土料理の「きりたんぽセット」の割 合が増えてきている。「きりたんぽセット」はゆうパックや宅配便を利用し、 15,000セットが全国各地に販売されている。また、きりたんぽの具材として「ミ ンチボール」や鶏ガラを利用した「比内鶏スープ」を開発した。特に「比内鶏ス ープ」は人気があり、毎年20数万本が販売されている。このほかにも「グルメみ そ」、「比内鶏そぼろ」、「比内鶏ご飯の素」などのユニークな加工食品も開発 されている。このように、関連商品を含めた販売額が約2億5千万円程度になって いるが、まだまだ伸びるものと期待されている。
【これが「きりたんぽセット」だ!】 |