◎地域便り


ゆとりある酪農経営を目指して

山口県/倉重 威見


 搾乳は、酪農の飼養管理時間のうち50%以上を占め、かつ、毎日欠くことので
きない拘束性の高い作業である。

 山口県畜産試験場では、「ゆとりある酪農経営」を目指した調査、試験に取り
組むため、1ボックスタイプの搾乳ロボットを平成10年度に導入し、11年5月から
運転を開始している。

 稼働してから8カ月が経過した現在、18頭の搾乳牛で朝夕2回の搾乳をしている
が、11年度は、搾乳ロボットの性能調査と牛に対するロボット搾乳の影響等を調
査、試験のテーマとして取り組んでいる。

 搾乳は、朝4時にロボットのゲートが開くところから始まる。ロボットが稼働
する瞬間である。すでに牛たちはゲートの前に集まっており、搾乳するのを待っ
ている。ゲートが開くと同時に、ゲートの前に待っていた牛たちはすぐにロボッ
トのストール内に入る。ただし、1ボックスタイプのため、1頭ごとの搾乳しかで
きない。入れなかった牛は、ゲートの前で待つことになる。

 ゲートが閉じると同時に、ロボット内の飼槽が移動し体長に合わせて、牛を固
定する。飼槽内に濃厚飼料が少しずつ排出され、牛が食べ始める。その間に、搾
乳機器が作動を開始する。2つのセンサー(超音波)が、4つの乳頭を見つけ、テ
ィートカップが乳頭1本ずつに装着され、搾乳開始である。

 搾乳は、1頭約8分で、終了すれば自動的にゲートが開き、牛は牛舎へ誘導され
る。朝7時までは無人の状態で搾乳が次々と進む。搾乳が終わっていない牛は、
管理人が促すと自らがロボット内に入り搾乳が行われ、8時30分には朝の搾乳は
終了する。

 夕方の搾乳は14時からスタートする。

 調査した結果、ロボットによる自動搾乳は、個体差があるが馴致を含めて平均
で約8日もあれば可能であった。特に、若い牛で初産牛はロボットになれるのが
早く、経産牛はやや抵抗するものもいた。しかし、初産牛の行動につられて、進
入率は徐々に向上している。

 今、搾乳作業は21世紀に向けて、大きく変わろうとしている。搾乳ロボットの
試験調査は始まったばかりであるが、今後とも「ゆとりある酪農経営」という大
きな目標に向けて、さまざまな課題の解決に取り組んでいきたいと思っている。
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【搾乳ロボットの全景】
 

 

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【センサーで感知しティートカップを装着】

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