◎地域便り


生産者全員の努力でつくり上げた無薬ハーブ長州どり

山口県/日高 秀次


 深川養鶏農業協同組合は、山口県の北部長門市にあり、近くには、毛利氏の城
下町萩や、秋吉台・秋芳洞がある。

 平成11年3月には、厚狭駅が山陽新幹線の停車駅となり長門市への交通の便は
非常に良くなった(厚狭、長門市の間はJR美祢線で約50分)。

 近年、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)等がクローズアップされたことから、
深川養鶏農業協同組合では、9年6月から飼料の中に全く薬を入れない無薬飼育に
取り組んできた(養鶏用飼料に添加されていたアボパルシンという薬がバンコマ
イシンに構造式がよく似ており、養鶏場でこのアボパルシンの耐性菌ができたこ
とにより、バンコマイシン耐性菌が出現したと言われている。)。当時、え付け
時より出荷までの全期間を無薬飼料でブロイラーを飼育することは、困難といわ
れていた。しかし、約20戸の農家で試験的に無薬飼育を始めたところ意外と順調
で、同年11月に全農家のブロイラーすべてを100%無薬飼料の飼育に切り替えた。
農場での病気の発生は、当初の予想に反して10、11、12年と毎年少なくなり、無
薬飼料での飼育でありながら全国でもトップクラスの成績を出している。

 また、9年11月からは、飼料原料の中から魚粉を除き、ハーブ(セージ、タイ
ム、ローズマリー)を添加、魚臭のない、においの良い鶏肉をつくることに成功
した。

 今日ではさらに、NON-GM(非遺伝子組み換え)で、かつ、PHF(収穫後農薬
を使用しない)トウモロコシによる無薬飼育に取り組んでいる。

 このような取り組みが西日本のスーパー、生協等に徐々に認められ、今日、同
農協では、無薬ハーブ長州どりの生産が需要に追いつかない状況にある。

 この100%無薬飼料でのブロイラー飼育が成功しているのは、長門地区に他の
インテグレーションが全くないといった環境の良さと、全組合員(生産農家)が
一丸となって、ブロイラーの出荷、除ふん後の鶏舎の徹底した水洗消毒(消毒は
5回)、鶏舎周囲への石灰の散布等を行ってきた「努力のたまもの」と言える。
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【無薬ハーブ長州どり】

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