◎地域便り


一致団結して取り組む臭気対策

愛知県/森下 忠


 愛知県半田市は、人口11万人に対し牛の飼養頭数が約1万頭(乳牛、肉牛各
5千頭ずつ)と、人口に対して牛の頭数がかなり多い都市である。そのため、ふ
ん尿処理には以前から前向きに取り組んでいる。しかし、どのようにふん尿処理
に取り組んでも、畜舎や処理施設からは必ず臭気が発生しており、この対策が重
要課題となっている。

 半田市酪農組合では、以前から組合役員を中心に環境巡回を行い、酪農家がお
互いの状況を確認しあって、環境対策に取り組んでいる。昨年8月からは、臭気
対策として光合成菌の培養を行っている。光合成菌の培養のために、飼料共同配
合所の敷地内にビニールハウスを建て、組織的に培養、供給、利用を行っている。

 過去にも各種微生物資材や消臭剤が試されてきたが、ランニングコストがネッ
クとなって定着しなかった。光合成菌の培養は比較的容易で、生産コストも安い。
そのため、酪農組合ではこれを培養して、集団で臭気対策に取り組んでいる。

 菌の培養は水槽で行い、1週間培養したものを2リットルペットボトルに移し替
え、農家に配布している。酪農家には配合所の飼料とともに配達し、空のペット
ボトルを回収してくるシステムとなっている。

 組合では、ダンプ車1杯に対してペットボトル1本を投入するよう勧めている。
また、農家によっては10倍程度に希釈後、バーンクリーナー等へ散布している。
光合成菌の生産費は、2リットルに対して百数十円程度で、組合員には1本150円
で供給しており、90頭規模で18,000円/月程度のコストとなっている。

 本事業に対しては、半田市もペットボトルの収集等に協力しており、酪農家と
行政が一体となって取り組んでいる。肝心の脱臭効果は、5段階の官能検査で1
ポイント程度の臭気軽減効果が確認されている。今回の取り組みについては、実
際の効果よりも、集団で臭気対策に取り組んでいることが重要である。個々の酪
農家で対応に差を付けず、みんなが一丸となって取り組むことで、半田市の酪農
家から畜産公害を出さない意気込みが感じられる。

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【ハウス内での培養】

【ペットボトルでの転送】

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