京都府/山崎 泰明
京都市のように都市を抱える地域で畜産を振興するためには、環境に対する意 識が高い地域住民の理解を得ることが不可欠となってきている。一方、農村部で は高齢化、過疎化が進行し農業の主体的な担い手の減少から中山間地域を中心に 農地の荒廃が進んできている。 京都府は、「地域に根ざした畜産」の推進に取り組んでいる。これは、環境対 策にも配慮しつつ畜産が持つプラス面を活用して地域の農業と主体的、積極的に 関わりを持ちながら、地域と共生し、地域農業に貢献することをめざす取り組み である。 当然のことながら多くの畜産農家や関係機関の参画を得て「地域に根ざした畜 産の集い」を実施するとともに、京都府農林水産フェスティバルにおいてパネル を展示するなどして、府内各地の実践活動の紹介やその拡大に努めている。 その活動例を紹介すると、家族経営協定を結び、経営を息子夫婦に委譲する中 で、自らは米の作業受託組織の中心的存在としてたい肥散布を一手に引き受け、 有機米作りに取り組むなどの「地域農業のリーダーとして活躍している事例」、 増加してきた転作田を活用し水田放牧を新たに取り入れたことにより「水稲の農 作業受託がよりスムーズとなった和牛繁殖農家の事例」、いままで焼却していた 堤防刈草を飼料やたい肥の水分調整資材として利用することにより「地域の未利 用資源が環境にやさしい畜産利用へとつながっている事例」、また酪農家の婦人 グループがアイスクリームなどの加工品を地域の特産物として製造販売し「地域 の活性化に貢献している事例」など、新しい動きも出てきている。 今後とも早急にこうした取り組みを拡大し、畜産における環境問題等のマイナ スイメージを払拭し、府民に京都らしい畜産物を提供するとともに地域における 畜産の必要性と畜産の存在感をアピールすることにより、地域の活性化と今後の 畜産振興を図るための基盤を築いていきたい。
【地域農業のリーダーとして 耕畜連携を推進】 |
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【和牛繁殖農家の水田放牧】 |