◎地域便り


土佐褐牛枝肉共励会の結果から

高知県/松岡 武男


 去る11月29日(月)高知県経済連の主催による高知県肉牛枝肉共励会が県広域
食肉センター(高知市海老の丸)で開催された。

 高知県では現在約500戸で約8,000頭の肉用牛が飼養されている。そのうち約70
%が地方特定品種と位置付けられている褐毛和種である。同品種は特に牛肉輸入
自由化の影響が顕著であり、飼養戸数、頭数ともに減少傾向にある。

 このような状況の中、土佐褐毛和種の肉質向上等を目指し、県経済連の主催で
この共励会が毎年開催されている。本年度の出品牛は17頭であった。品種は土佐
褐毛和種に限定され、月齢は29カ月未満である。

 県畜産試験場の担当者等による審査の結果、優秀賞は町田広忠さん(伊野町)
の出品した貴久代号(出品番号10番)が選ばれた。枝肉重量は520.5kgでBMSは9、
また、枝肉共励会終了後に行われた枝肉のせりで1kg当たり3,103円という高値で
高知市内の食肉店に引き取られた。出荷時体重の最も大きかった牛は出品番号15
番の貴久伯号(JA津野山)であり、生体重は862kgであった。この牛は10年4月1
日に260kgを266,000円で購入しており、これで計算すると肥育日数603日、この間
の増体重は602kg、DGは1.0kgと高い増体成績を示している。

 出品牛をBMS No.別に区分すると9=1頭、7=2頭、6=2頭、5=2頭であとは4
=4頭、3=7頭とばらついており、課題を残した。このような精鋭を集めた県域
的な共励会としては少なくともBMS5以上となるように努力したいものである。

 このため高知県畜産試験場では土佐褐毛牛の肉質等の高位平準化を図るため、
育種価評価による産肉能力の把握に積極的に取り組んでいる。県内の繁殖牛のほ
とんどはその数値がでているため、今回の枝肉共励会出品牛についてもあらかじ
め予測値を計算していた。予測値と基準値(観測値)との関係は下の図通りとな
っている。

 このことについて、県畜産試験場では、肥育成績は遺伝的な要素や飼養環境に
も左右されるが、今回の共励会の成績からNo.4以外は制度も高く、今後、種雄牛
の選抜を行う上で、貴重なデータが得られたので参考にしたいと話していた。

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【最優秀賞の10号牛の枝肉断面】
◇図:脂肪交雑(基準値)予測値と観測値の関係◇

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