★ 事業団から


−統計解説シリーズ−
輸入食肉の品目別輸入動向調査について

食肉生産流通部食肉課




調査の内容

 事業団では、食肉の輸入動向を把握するため、日本食肉輸出入協会に委託して、
「輸入食肉(牛肉・豚肉)の品目別輸入動向調査」を実施している。

 この調査は、牛肉の輸入自由化後の食肉需給の安定等に資するため、輸入業者
等による食肉輸入の実態に関する情報を中立的な立場から収集、分析することを
目的に、牛肉については、自由化直後の平成3年度から、また、豚肉については
6年度から開始された。

 毎月、チルド(冷蔵)、フローズン(冷凍)別に、枝肉、カタ、バラ、ロイン、
ももなど、品目別の当月の輸入実績および3カ月先までの輸入見込み数量につい
て、日本食肉輸出入協会の会員商社(平成12年4月現在34社)を対象に調査を行
っている。その結果をもとに、直近の食肉の需給動向、会員の輸入シェア等を踏
まえた上で分析、検討し、毎月、大蔵省の「貿易統計」の公表対象月から2カ月
先までの総輸入量を予測している。この予測数量等については、「畜産の情報
(国内編)」及び「畜産物市況週報」で公表している。

(本誌の47、51ページ、資料編17ページをご参照ください。)


牛肉の調査結果と流通・消費の特徴的な動き

 会員商社によるアンケート調査の結果をもとに、平成6年度以降の牛肉輸入に
見られる傾向から、わが国の流通・消費における特徴的な動きを検証してみる。

 まず、大きな流れとして挙げられるのは、バラの大幅な増加とそれに伴うロイ
ンの減少であろう。チルド、フローズンともに、数量においても、部位別比率に
おいてもその傾向がはっきり表れている(図1〜5)。会員商社の総輸入量に占め
る部位別比率の推移をみると、バラは平成6年度の28%から平成11年度の36%に
上昇し、12年度(4〜8月)にはさらに37%にシェアを伸ばしているのに対し、ロ
インは同期間に19%から13%にまで低下している。

◇図1 牛肉の部位別輸入比率の推移(チルドおよびフローズンの合計)◇

◇図2 牛肉の輸入数量(チルド)◇

◇図3 牛肉の部位別輸入数量・指数(チルド・平成6年度を100として)◇

 バラは、自由化以前から牛丼などに使われる固定的な需要があり、総輸入量に
占める比率も高かったのであるが、近年の大幅な輸入増加は、自由化以後の焼き
肉需要の伸びや、中食(特に弁当類)の伸びが大きく影響しているものと考えら
れる。外食関係のみならず家庭においても、ステーキを焼くより手軽で多くの品
数が楽しめる「焼き肉」は人気メニューで、スーパー等が牛肉売り場の中で「カ
ルビ焼肉用」を中心アイテムの1つに据えていることからも分かるとおり、「バ
ラ増、ロイン減」の大きな要因の1つとなっていよう。

 第2に、部位別カテゴリーの中でフローズンの「その他」(枝肉・骨付き、カ
タ、バラ、ロイン、もも以外の品目。主として加工原料用のトリミング、カウミ
ートなどが含まれる。)が大きく増加している。本調査によれば10〜11年度には
6年度の約2倍の数量を輸入している。これは、好調に推移してきた外食ハンバー
ガーチェーン等の拡大や活発な販促活動に伴うハンバーガー用原料需要の増加が
一因とみられるが、11年度にはフローズン「その他」の輸入量は前年度を7%程
度下回った。(図4、図5)

◇図4 牛肉の輸入数量(フローズン)◇

◇図5 牛肉の部位別輸入数量・指数(フローズン・平成6年度を100として)◇

 今後の輸入動向について、チルドは、月3万トン台の輸入水準が保たれるもの
とみられ、また、フローズンは、需要の過半を占める外食向けを中心に安定した
数量の輸入が続くものとみられている。

元のページに戻る