◎地域便り


知事と小学生とが畜産体験授業

岩手県/小岩 一幸


 岩手県南に位置する胆江地域は、全国でも有数の肉用牛生産基地として発展し
てきたが、近年、子牛価格の低迷、飼養者の高齢化等により戸数、頭数ともに減
少傾向にあり、積極的な振興策の推進が望まれている。

 この一環として、10月3日、地域農業の担い手育成を目的として、小学生を対
象とした畜産体験授業が開催され、増田岩手県知事がこれに参加した。知事はこ
れに先立っての課外授業で、前沢町の農事組合法人「小形牧場」(飼養頭数約60
0頭、年間出荷頭数約300頭、上物率70%)を訪問、会長の小形進氏から、経営の
概要や牛飼いの理念等の話を聞いた。その後、系列の(有)前沢牛オガタ直営店
「味心」において、胆江地域肉用牛青年担い手協議会(当地域の繁殖、肥育経営
で規模拡大意欲の強い担い手青年の組織。研修会、他地域の担い手との情報交換
等を通じ、自己研さんに努めるほか、地域の畜産活性化対策を模索する目的で11
年7月に設立され、現在20〜40代の43名で構成。)の代表7名と種雄牛造成および
今後の和牛改良の方向、ふん尿処理対策等について、積極的な意見交換をした。

 畜産体験授業は、午後から胆沢町営牧野において、胆沢町立愛宕小学校(千葉
良作校長、児童数154人)の4年生33人を対象として開催された。

 講師は、JA岩手ふるさとの佐々木輝美獣医師で、牛の体の仕組みや健康管理等
について、分かりやすい説明があり、同獣医師の「牧場は何のためにあるの?」
との問いに、すかさず「ストレス解消」との返答があり、知事も思わず苦笑して
いた。

 また、「牧場の広さは?みんなの校庭何個分?」との問いに、「10個!」「50
個!」と威勢の良い声が上がり、「約200個分もあるんだよ」との回答に目を白
黒させていた。

 その後、牛の健康診断として聴診にも挑戦し、「ドキドキいってた」等と、友
だち同士で興奮気味に話し合っていた。

 最後にラップサイレージ作業を見学し、知事が約200キログラムの乾草ロール
に黒いビニールを巻き終えると、「すごい!」「ヤッター!」等と大きな歓声が
上がっていた。

 授業終了後、知事は「教科書や図鑑だけでなく、自然の中で牛肉生産の仕組み
を勉強することは大変意義深く、また、消費者にとっても、広々とした牧野で肉
用牛が健康に育つのは良いこと」と感想を述べていた。
iwate.gif (49498 バイト)
【岩手県って言えば、前沢牛だもの。
よくお勉強してね。】

元のページに戻る