◎地域便り


畜産、耕種連携による持続的農業を目指して

岩手県/及川 竹生


 盛岡農業改良普及センターでは、平成10年度よりたい肥の有効活用と流通促進
を図るための活動に取り組んできた。管内には畜産農家が多く、飼養規模の拡大
によりふん尿処理が円滑に行われにくい環境になってきたことや、環境に配慮し
た持続的農業が従来にも増して重要視されてきたからである。

 10年度は、畜産農家のたい肥供給マップの作成や畜産農家と耕種農家による評
価会を開催、自己評価と他人評価の違いや他との比較により、良質なたい肥生産
方法の理解を図った。また、畜産農家を対象としたセミナーでは、売れるたい肥
生産の必要性や良質たい肥生産技術の事例紹介などにより啓発を図ってきた。そ
して、この取り組みから、耕種農家の意向を反映したたい肥生産が必要であり、
品質が安定していることや庭先でたい肥の品質を判定できる判別シートが必要で
あるなどの課題が浮かび上がってきた。

 11年度は、耕種農家のたい肥に対する意向把握や品質の季節別変動を把握し、
また、主に耕種農家を対象にたい肥利用促進セミナーを開催し、地域内流通を促
進するために、耕種畜産が連携した事例紹介やたい肥流通体制整備へ向けた意識
醸成を図った。

 12年度は、「持続的農業開発普及事業」により、地域の土づくりおよび良質た
い肥生産の優良事例の調査や、たい肥需給マップを作成した。また、畜産農家、
耕種農家を対象に土づくり交流会を開催し、たい肥を利用し野菜やりんご生産に
取り組んでいる農家の事例、組織的に土づくりに取り組んでいる生産組合の事例
や、地域たい肥生産活用推進協議会の活動、管外でのたい肥生産取り組み事例の
紹介、およびたい肥の判別シートの利用方法など、畜産農家と耕種農家に対し、
たい肥の生産と利用に対する啓発を図った。会場からも、たい肥を入れての効果
や作業性、経営面などさまざまな角度から質問が出されるなど、関心の高さがう
かがわれた。

 この3年間、初年度は主として畜産サイドから、次年度は、耕種サイドから、
そして、3年目は、畜産と耕種との連携を進め、持続的農業の展開を目指し合意
形成を図る活動を行ってきた。地域によってさまざまな取り組みが行われてきて
いるが、耕種農家と畜産農家とを結ぶ紹介斡旋組織やシステムの必要性を痛感し
ている。
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【土づくり交流会の様子】

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【今年度作成したたい肥マップ】

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