◎地域便り


家族で支えるふれあい牧場

埼玉県/中川 麻紀


 三角屋根のログハウスにミニ豚やロバなどさまざまな動物たち、そして河川敷
には北海道を思わせるような広大な牧草地。都市近郊の上尾市で酪農業を営む榎
本求さん(52)の牧場を訪れると、このような光景が目に飛び込んでくる。

 昭和49年に県内で初めてフリーストール牛舎とミルキングパーラーを導入した
榎本さんは、自宅から車で5分の場所で約110頭のホルスタイン種を飼養する通勤
酪農を営んでいる。兄弟親子7人の家族経営。現在は搾乳以外にも、自家製のア
イスクリーム販売や牧場体験(搾乳体験、バター作り等)、写生会も行っている。
来場者は家族連れから幼稚園、小・中学校、地域の集まりなどと幅広い。

 平成12年8月に開店したアイスクリーム店は、牧場体験者からの強い要望にこ
たえて始めたもので、店頭にはミルク、抹茶、ブルーベリーなど常備8種類と日
替わりメニュー、季節限定メニューなどが並んでいる。自分の家の牛乳を使って
アイスクリームを作りたいということで保健所でアイスクリーム製造業の許可も
取得した。製造販売施設は、使用していないサイロを製造室に改装し、製造室の
前にログハウスを建て販売所にするなど、できるだけコストをかけずに作り上げ
ている。

 榎本牧場の基本は「家族の手作り」。来場者用トイレや動物舎等の整備も廃材
等を利用して、できる限り家族で行っている。経営に関するさまざまな課題も家
族みんなで話し合い、取り組んでいる。仕事の分担は、求さんと獣医師の資格を
持つ弟の徹さんと長男の貴さん夫婦が主に酪農経営を担当、妻の美津子さんと長
女の千恵子さんがアイスクリームの製造販売を担当している。また次男の衛さん
は牧場のホームページ(http://www.os.
rim.or.jp/〜enomoto)やE-メールの対応など情報部門を担当しており、まさに家
族ぐるみの経営である。

 「お客さんと直接触れ合えるのが楽しい」と笑顔で語る榎本さん一家の温かさ
が、たくさんのお客さんを引き付けている。
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【アイスクリーム店「フォルトゥーナ」】

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【中学生の牧場体験(ミルキングパーラー)】

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