新潟県/阿部 悟
新潟県は全国を代表する銘柄米の主産地である。その主産地において、大規模 稲作組織や集落の生産組合が、稲作地帯における新たな米の生産調整手段として、 畜産農家と連携した稲ホールクロップサイレージ(稲発酵粗飼料)生産に取り組 んでいる。 西蒲原郡岩室村の農業生産法人(有)「米工房いわむろ」では、多収穫が期待 できるホールクロップサイレージ専用種を用い、直播や移植栽培により6.4ヘク タールの生産に取り組んだ。 この取り組みは、米の生産調整の手段として、また地域における自給粗飼料確 保として稲作農家や畜産農家から大きな関心が寄せられていたことから、村を中 心とした岩室村水田飼料作促進部会では平成12年8月31日に栽培研修会、1 0月2日には収穫実演会を開催し、稲作農家と畜産農家の連携に取り組んだ。 サイレージの供給を受けた酪農家においても好評であり、13年度には栽培面積 の拡大を予定している。 また、銘柄米・魚沼コシヒカリの産地である小千谷市においては、集落の生産 組合「小粟田生産組合」が低コスト栽培としてラジコンヘリによる直播で、5.4 ヘクタールの生産に取り組み、地域内の酪農家に供給した。 この他、中頸城郡大潟町の農業生産法人では転作大豆の連作解消対策として、 また、排水不良田をかかえる豊栄市など、12年度においては県下約21ヘクタール の水田で稲ホールクロップサイレージが生産され、畜産農家に供給された。 各地域で、農業改良普及センター、市町村、JA等の連携により研修会が開催 された。稲作生産組織の関心も高く、今年度取り組んだ組織では、ほとんどが面 積を拡大する予定である。また、新たに予定している組織もあり、13年度の取り 組み面積は県全域で47ヘクタールが見込まれている。 このように、稲ホールクロップサイレージは水田を活用した耕畜連携による自 給飼料として、今後の拡大が期待されている。
【稲ホールクロップサイレージの収穫実演会】 |