◎地域便り


地域資源を活かしたむらづくり−柿のソフトクリーム完成− 

島根県/小塚 昭郎


 八束郡東出雲町上意東地区は、中国地方で屈指の干し柿の産地として歴史を持
っている。

 柿の品種は「西条柿」で、戦国期の毛利・尼子の合戦に毛利軍が兵糧として携
行し、後代に産地化したとされる説が有力だ。

 松江市、八束郡内には樹齢400〜500年と言われる古木が現役で活躍している。

 この地域資源の商品化に取り組み、若者にも受ける商品として完成させたのが
西条柿のソフトクリーム。淡いオレンジ色が景勝地として有名な宍道湖の夕日を
連想させることから「夕日ソフトクリーム」と名付けられ好評を博している。

 この商品に取り組んだのは「上意東特産振興組合(森口良美組合長)」である。
同地区は松江市の近郊、中山間地に位置し5集落、120戸。兼業農家が主体とはい
え歴代リーダーの力で集落としての機能がフルに発揮されている。

 集落活動の原点は、昭和50年代に取り組んだ「新島根方式」と呼ばれるむらづ
くり運動である。ほ場整備や集会所の整備で終わらず、次々と新機軸を打ち出し
た。地区には加工を専門とする女性加工組織があり、味噌や漬物、笹巻き・餅等
の季節的、伝統的な食品はふるさと便などで安定した需要を確保している。

 近年では、地域特産のタケノコ生産から派生した竹炭を製品化するなど、一地
区の取り組みとしては出色である。

 このような取り組みの延長上にソフトクリームの開発があった。満足できる色
や堅さを出すのに苦労し、商品化に3年かかった。柿を使った加工品としては一
昨年発売した「柿ドレッシング」も伝統的な柿のイメージを破った商品で県内の
高級スーパーでしかお目にかかれない。着目すべきは、商品開発に当たって徹底
的に専門家を活用していることである。県外の企業、研究所と連携した商品開発
は、今日、農業に求められる企業家精神の模範と言える。

 一方で、地域を愛し育てようという気持ちが住民の和を一層強くしている。地
域の古話を題材にしたミュージカルの上演、戦国時代の古道の再現、花ショウブ
の里づくり等心躍る遊び心にあふれた活動も盛んだ。

 優れた商品づくりの裏に人有りの感をますます強くする。

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【ソフトクリーム】

【柿ドレッシング】

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