◎地域便り
茨城県 ●民間活力が畜産振興に大きく寄与( 2 )
茨城県/鹿志村 均
【地域に根ざした乳業メーカーが造った「牛乳博物館」が見学者で盛況】
昭和31年、古河市内で産声を上げたトモエ乳業は、現社長の中田俊男社長
(66歳)が一代で築き上げた全国でも優数の乳業企業である。
平成6年には、隣接する総和町に最新鋭の設備を誇る念願の新工場(HACCP認
証)を建設したが、さらに徹底した安全な食品の提供のため、年々衛生設備を
充実強化し、14年10月には、「食品衛生優良施設」として厚生労働大臣表彰を
受賞した。
また、新工場内にオープンした牛乳博物館は、中田社長が約45年にわたり国
内を始め世界各国から収集した酪農乳業関係の器具器材(世界の牛乳びんや牛
を呼び寄せるときに使うカウベル等)をわかりやすく展示している。
展示品の多くは、希少価値のものばかりで、収集に大変な苦労をされたが、
甲斐あって今では、約5千点を超える展示数を誇り、先日も、テレビに出演さ
れ自慢の逸品を公開されたとのことであった。
先にお邪魔した折、感銘したことは、展示品1つ1つすべてに、収集時の状況、
どんな使われ方をしていたかを中田社長自らが丁寧に説明されたことだ。
博物館は、無料で常時一般開放されており、小学校の遠足を始め一般の入場
者も多く、開館以来すでに約8万人に達しているという。
また、中田社長の座右の銘は、医食同源。牛乳を飲んでいれば、健康でいら
れるとの信念だ。会社が発足した頃と比べ、日本人の牛乳消費量は大きく拡大
したが、欧米並には至っていないと考えている。そこで、家庭料理に牛乳を使
うことを提案し、新工場内に調理実習室を設け、会社主催による牛乳料理教室
も地道に続けている。
さらに、年2回「大地とのふれあい祭り」を開催し、地元との交流を積極的
に図っている他、サッカーJ2の水戸ホーリーホックのクラブパートナーとして
も参加している。
これらの取り組みは、決して販売戦略でなく地域に貢献する会社活動ととら
え、併せて牛乳の正しい知識の普及に努め、消費者へ安全・安心な牛乳を届け
ることが、酪農・乳業の使命との強い思いにつながっている。中でも博物館は、
そうした中田社長の心が込められた空間であり、消費者に牛乳や畜産への認識
を高めてもらう情報発信の場となっている。
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【茨城県西地域と周辺図】
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