トピックス

●●●高値を続ける和牛の卸売価格●●●

 和牛の卸売価格は順調に回復しており、11月は2年前の価格を328円
(東京市場、和牛去勢A−3、14年11月は速報値)上回り、高値を続けて
いる(図1)。ここ1カ月間に和牛の卸売価格はA、B等級の区分で前月に比べて
すべて値を上げており、A−5を除いて200円以上値を上げた(直近月の価格は
速報値)。前々年同月比でも和牛は全面的に上回っており、2、3等級は大幅に
上回っている。これは、11月が12月並みの気温による鍋物需要によることも一
因ではあるが、表示の徹底によることも大きい要因となっていると考えられる
(図2)。

 一方、10月の和牛の小売価格は前年同月比でかた0.6%減、サーロイン1.4%
減、前々年同月比はかた4.5%減、サーロイン8.9%減となっている。国産牛肉
在庫数量は前々年同月比では10.0%上回っているが、前年同月比は13.6%下回
っている(図3)。年末に向かって、消費者の国産志向が強い中、和牛の出荷
頭数の大幅な増加が見込めない上、輸入数量が回復していない状況では、ます
ます在庫数量の減少が予測される。
◇図1:牛肉の卸売価格(東京、和牛去勢A−3)◇
◇図2:和牛のと畜頭数◇
◇図3:国産牛肉の推定期末在庫量◇


●●●豚肉家計消費量、例年を上回る●●●

 総務省「家計調査報告」によると、平成9年を基準に14年(13年11月〜14年
10月で概算、以下同)を比較した場合、1人当たりの消費支出額(総合)は3.7
%の減少、食料費は4.8%の減少となっている。

 9年を基準として消費者物価指数で割り戻して(デフレート)この内訳を概
算してみると、14年は消費支出(総合)では9年に対してデフレ効果による減
少が2.0%、実質の消費減少が1.7%。また、食料費については、9年に対して
デフレ効果による減少が2.7%、実質の減少が2.1%と推算される(図4)。こ
のことから食料品物価の低下とともに各家庭では食費が切り詰められている様
子が伺われる。

 そのような状況の中、1人当たりの豚肉購入数量は年々増加している(図5)。
豚肉購入金額においては、上記のとおり14年はデフレ効果による金額圧縮分
(2.7%)があると考えられる。従って、9年の購入金額6,849円に対し14年は7
,372円、名目の増加は7.9%であるが実質の購入金額は、2.7%+7.9%=10.6
%の増加であると推算される。

 また、14年10月について見ると、13年9月の最初のBSE確認から1年余が過ぎ、
牛肉の消費も9割とほぼ回復し、市場は落ち着きを取り戻している。10月の1人
当たりの豚肉購入量は468gと前年同月より2.4%減少しているが、例年での10
月の豚肉購入量と比較すれば1割強上回っている(9〜12年の10月平均は424g)。
BSEによる豚肉へのシフトは元に戻りつつあるが、家計における豚肉の消費量
は、まだ例年を上回って推移している。
◇図4:家計調査における消費動向(1人当たり)◇
◇図5:1人当たりの実質消費指数◇


●●●10月末の鶏肉在庫量の減少●●●

 鶏肉在庫量はここ数ヵ月前年を大幅に上回っていたが、事業団推計の10月
末鶏肉在庫量は、国産品、輸入品ともに前年同月は上回るものの8月末をピー
クに下降傾向で推移してきている。10月の鶏肉輸入量は前年同月比▲26.7%と
大幅な減少のため、偽装問題以降輸入品の売れ行きは良くないものの、在庫量
は毎月減少傾向となっている。

 10月については、中国産の輸入量は前年同月2万5千トン弱であったものが、
1万1千トン程度と大幅に減少しており、米国産も港湾ストの影響と衛生問題に
より前年同月の半分程度となっている。タイ産もEU向けが伸び悩んでいるため
日本向けにシフトしているものの前年同月を3千トン強下回り、1万3千トン台と
なっている。ブラジル産のみが10月は9月期よりは大幅に増加し1万6千トン台と
なっている。

 一方、国産品に目を向けると、11月初めのもも肉卸売価格(東京、1kg当たり)
は655円であったが、じりじりと値上がりし、月末には679円となっている。牛
肉の代替需要で異常な値上がりとなった昨年(747円、11月末)よりは大分下回
るものの、依然として一昨年(623円、11月末)よりはかなり上回っている。

 このため、年末の需要期を迎え、国内品在庫のひっ迫が懸念され、本格的値
上がりが予想される(図6)。
◇図6:鶏肉推計期末在庫量の推移◇


●●●平成14年ブロイラー用ひな出荷羽数、前年を上回る見通し●●●

 農林水産省は、11月28日10月分のブロイラー用ひな出荷羽数と11月および12
月の聞き取りによる見通しを公表した。

 それによると、14年のブロイラー用ひな出荷羽数は前年をわずかに上回り
(2.3%)、620,962千羽となる見通しである。

 BSEによる牛肉の代替需要は収束したものの、偽装事件による根強い国産
志向および年末に向けての国産品需要の増大により、当分国内の増産が続くこ
とが予想される(図7)。
◇図7:鶏ひな出荷羽数◇


●●●飲用牛乳等向け処理量、増加●●●

 農林水産省は11月29日、10月の牛乳乳製品統計を発表した。「生乳生産量」
は14年度累計(4〜10月)で4,937千トン、前年同期を1.3%上回り、「飲用牛
乳等向け処理量」についても、13年8月以降14年5月まで前年同期を下回ってい
たが、14年度累計(4〜10月)では3,034千トンと1.7%上回った。「乳製品向
け処理量」は13年8月以降12カ月連続で増加傾向であったため、14年i8月以降3
カ月連続でマイナスとなったが、14年度累計(4〜10月)で1,850千トンと0.8
%上回った(図8)。

 次に、牛乳乳製品の生産量についてみると、「飲用牛乳等生産量」のうち、
生乳100%を原料とする「牛乳」の生産量は、13年8月以降11カ月連続で前年同
月を下回って推移したが、14年7月以降かなりの程度上回り、14年度累計(4〜
10月)では2,383千klと、2.2%上回った。「加工乳」は、13年7月以降一時減
少幅が小さくなり、食中毒事故の影響は解消されたと思われるが、牛乳の使用
割合の表示が義務付けられた(13年7月11日から)ことにより「加工乳」とし
ての特長が出せなくなり、14年4月以降は再び大幅な減少となり、14年度累計
(4〜10月)では295千kl、▲16.7%と大幅に下回った。「乳飲料」は、14年度
累計(4〜10月)では728千kl、▲5.4%と13年7月以降7カ月連続で上回ってい
たが、14年2月以降下回っている。はっ酵乳は14年度累計(4〜10月)では493
千kl、17.1%とプロバイオティックスの効用もあり大幅に増加している。すな
わち、加工乳の減少が続く一方で、牛乳やはっ酵乳が増加傾向にある。(図9)

 また、「乳製品生産量」については、バターは14年度累計(4〜10月)で46,
888トンと6.9%増加し、チーズも累計では増加傾向となっている。

 酪農・乳業を取り巻く当面の大きな焦点となっていた平成14年度の飲用原料
乳価交渉が、12月初旬までに、24年ぶりの値上げでほぼ決着した。飲用乳価は、
昭和54年以降、牛乳消費の低迷等を背景に下り続けたが、平成14年度は、BSE
や環境対策問題等を背景に生産者側が大幅な引き上げを求めて交渉は難航した
が、飲用牛乳の好調を背景に、生乳基盤の確保の意味も込めてメーカー側が歩
み寄り、約四半世紀ぶりの引き上げが実現したとみられている。
◇図8:牛乳等の生産量と用途別処理量(対前年同月増減率、%)◇
◇図9:飲用牛乳等生産量(対前年同月増減率、%)◇


●●●市販パック詰鶏卵の規格表示等に関する調査結果について●●●

 中央鶏卵規格取引協議会は、首都圏で販売されている市販パック詰鶏卵の表
示書に「鶏卵規格取引要綱」で定められている表示事項が正しく記載されてい
るか、表示した規格どおりの重量卵が詰められているかを毎年夏季に調査し、
併せて品質について検査している。以下に同報告書から年度別調査結果の推移
を一部抜粋し記載する。

 なお、この要綱は、平成12年12月1日付けで一部改正され、@「食品衛生法
施行規則」の一部改正に伴う賞味期限等表示の義務付け、A「生鮮食品品質表
示基準」の制定に伴う名称および原産地の表示が義務付けられている(表1)。

1 表示書の記載について

 規格表示書の主な不適切表示については表示書枠内への商標等余分な文字の
記載以外は改善の傾向がみられる(表2)。また、賞味期限については、法改
正のあった年である12年以降は100%の表示率となっている(表3)。

2 卵重の適合率について

 7年、10年を除きおおむね80〜85%の間で推移している(図10)。
◇図10:卵重規格適合率の推移◇
3 品質について

 卵黄色の年次推移は、8年まではカラーファンNo.8程度を維持していたが、
9年以降は年々高まる傾向で推移し、13年以降はNo.10を超える濃さとなって
いる。 

 ハウ・ユニット(HU)の年次間推移をみると3つの特徴が認められる。    

@種類間に差

 M卵とL卵を比較すると、5年を例外とし常にM卵の方が高い。    

A賞味期限表示の義務化後は高くなった

 法改正のあった12年以後は、上昇傾向がみられる。    

B気温や環境の影響を受けやすい

 9年までは、気温の低い年はHUが高く、気温の高い年はHUが低い傾向がみら    
れた(図10)。しかし、10年以降は気温の変動を受けずに高いHUを示している。    
これはおそらく流通段階における保管環境の改善がHUを低下させない原因の一
つと考えられる。    

○カラーファン 

 卵黄色の鮮やかさを示す指標となる扇状の色見本カード。淡い黄色(1)か
ら濃い橙色(15)までを15段階で表示している。    

○ハウ・ユニット(haugh unit,HU)

 平板の上に割り落とした卵における濃厚卵白の高さと殻付卵重量を組み合わ    
せて濃厚卵白の劣化度を表現する。アメリカのレイモンド・ハウ氏が考案した    
方法でアメリカ合衆国農務省の規格では、HU値が72以上がAA級(最高級品位)、    
60〜72未満がA級(高級品位)、31〜60未満がB級(中級品位)、31未満がC級    
(低級品位)と格付けされている。    

表1「要綱」別紙で示しているパック詰鶏卵の表示様式例

資料:鶏卵規格取引要綱(改正12畜A第3226号平成12年12月1日農林水産事務次官通知)      

表2 規格表示書の主な不適事項の年次推移


表3 賞味期限表示率の推移      


表4 卵質に関する主な調査項目の推移      

資料:中央鶏卵規格取引協議会「2002年度パック詰小売り鶏卵の規格並びに品質検査の概要」      
◇図11:5〜9年における気温とHUの関係◇

 

●●●1月は「食を考える月間」です。●●●

みなさん、「食」について考えたことがありますか?

 農林水産省では、平成15年から毎年1月を「食を考える月間」とし、「食」
に関する様々な情報の受発信やイベントなどを開催するなど、皆さんに広く
「食」について考えていただくための取組みを進めていきます。

 具体的には、

@「食を考える国民フォーラム」の開催
A 地域における食に関するシンポジウムや学習会の開催
B 農林水産省本省・地方農政局、独立行政法人農林水産消費技術センターの
 「消費者の部屋」「消費者コーナー」での特別展示

などをはじめとする様々な催しを開催予定です。
 
 イベント予定などについては、農林水産省ホームページに掲載します。ぜひ
ご覧ください。

URL:http://www.maff.go.jp/

詳しいお問い合わせは、
 農林水産省総合食料局消費生活課
  03(3502)5723まで。

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