ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテストが11月19日、東京ドームホテル(東京都文京区)で開催された。国産ナチュラルチーズの製造技術の向上と消費拡大を目的に、社団法人中央酪農会議が主催する国産ナチュラルチーズの国内最大規模のコンテストである。
チーズ鑑定専門家の村山 重信氏をはじめとする専門家による厳正な審査の結果、よつ葉乳業株式会社のブルーチーズが農林水産省生産局長賞に、チーズ工房横井牧場のアネペツが独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞に輝いた。また、スペイン等からの来賓が独自の視点で選定した特別審査員賞には、(有)半田ファームのトムハンダが選ばれた。
村山委員長の総評では、(1)出品されるチーズの品質が年々高まっており、受賞したチーズとそれ以外との差はわずかである、(2)チーズの本場である欧州産に引けをとらないものもあるとの高い評価が明らかにされるなど、国産ナチュラルチーズの生産技術の向上は着実に進んでいると言える。
同コンテストは平成12年から毎年1回開催されているが、参加者数および出品数とも回を重ねるごとに増加している。4回目となる今回のコンテストには、全国から45社(団体)のチーズ製造者が参加し、100品目を超える国産ナチュラルチーズの逸品が出品された。会場には、出品者や酪農・乳業関係者のほかマスコミ、流通・飲食業界関係者、消費者など約500名が参集した。
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酪農・乳業関係者、
消費者など約500名が集まった
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審査は、ナチュラルチーズの製造、販売、利用(調理)に携わる10名の専門家によって実施された。チーズの製造施設の在所する地域の気候や原料に合わせた製造工程で作られているかを勘案した上で、「外観」、「色」、「風味」、「香り」、「組織」について総合的に評価される。1次審査として、「ハード」、「ソフト」、「フレッシュ」のチーズのタイプごとに各10品目の優秀賞を選定し、2次審査として、優秀賞の受賞チーズの中から、チーズのタイプごとに金賞が各1品目選定された。最終的に3つの金賞受賞チーズの中から、最優秀賞として生産局長賞が、これに次ぐ優秀なものとして機構理事長賞が各1品目選ばれた。
出品されるチーズの品質が年々向上し、高いレベルの競争となった結果、「ハード」、「ソフト」タイプ部門では、1次審査で10品目に絞り込むことができず、11品目が選ばれている。授賞式の後は、チーズの試食が行われ、受賞チーズだけでなく、その他の出品コーナーにも多くの人でにぎわっていた。なお、各賞の受賞チーズは以下のとおりである。
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JAPAN ナチュラルチーズコンテスト受賞者一覧
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○農林水産省生産局長賞 |
よつ葉乳業(株)/ブルーチーズ
(金賞のチーズ紹介参照)
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○独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞 |
チーズ工房
横井牧場/アネペツ
(金賞のチーズ紹介参照)
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○特別審査員賞 |
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○金賞 |
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(参考)
チーズの生産・消費動向
1人当たりのチーズの年間消費量は、年々増加してきたものの、最近では伸び悩んでおり、14年度では2kg弱となっている。諸外国と比較すると日本の消費水準はまたまだ低く、EUの1/10、米国の1/7にすぎない。
図1 各国のチーズの1人当たり消費量
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資料:農林水産省牛乳乳製品課調べ、総務省「人口統計」、ドイツ市場価格情報センター「Dairy
Review 2003」
注1:日本の数値は、チーズ消費量と人口から算出したもの
注2:日本は14年度、その他の国は13年(2001年)の数値である。 |
チーズは従来、加熱処理されたプロセスチーズとして消費されることが多かったが、近年ではナチュラルチーズとして直接消費される数量が半数以上を占めている。14年度のチーズ総消費量24万9千トンのうち、直接消費されるナチュラルチーズは全体の52.4%を占め、残りは加熱処理されたプロセスチーズとして消費されている。国内のナチュラルチーズ生産量は3万6千トンで、このうち6割以上がプロセスチーズの生産に用いられ、4割弱が直接消費される。チーズ消費全体に占める国産の割合はわずか15.6%でしかない。(図2)
図2 ナチュラルチーズの生産量・輸入量
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資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課 |
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図3 国産ナチュラルチーズの種類別 生産量(14年度)
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資料:農畜産業振興機構調べ |
国産ナチュラルチーズの生産量を種類別に見ると、プロセスチーズの原料にも使われるゴーダやチェダーの生産量が多く、この2種のチーズで全体の64%を占めている。これらに次いでカマンベール、クワルク、モッツァレラなどの比較的クセの少ないタイプのチーズの生産が多くなっている。 |