岩手県/川村 正雄
カシオペア産短角牛をご存知ですか。岩手県北部に位置するカシオペア連邦(二戸市・軽米町・九戸村・一戸町・浄法寺町の5市町村で構成)には、「赤べこ」と呼ばれる日本短角種の繁殖牛が500頭飼育されている。この牛は、全国に繁殖牛が8千頭しかいない希少な家畜であり、子牛は、広大な公共牧場で母乳により育てられる健康的な肉用牛である。 平成13年9月にBSEが発生し、消費者の「食の安全・安心」についての関心が急速に高まった。こうした中で、学校給食に地元産の「おいしくて安全な牛肉」を使いたいとの要望があり、学校給食センターをはじめ行政・農協・食肉事業者等が一体となって地元産「短角牛肉」を学校給食の食材として利用することを決定した。 カシオペア連邦には、約6,800人の小中学校の児童・生徒がおり、一ヶ月に使用される牛肉の量は脂身の少ない200kgの「モモ肉」が必要となる。このため、学校給食用として2頭分の短角牛のモモ肉を使用する一方、モモ肉以外の高級部位については、二戸市内の「産直施設」において消費拡大キャンペーンによる直売会を開催するなど、地域の人々への地元産牛肉に対する理解を深めてもらう取組みが行われた。この結果、平成14年度に提供された牛肉は、学校給食用が2,000kgとなり、消費拡大用は2,600kgとなった。 各学校給食センターでは、毎月1回の牛肉メニューとして「牛丼」・「ビーフカレー」・「シチュー」・「すき焼き煮」と毎回の献立に工夫を凝らすなど、大変な協力を頂き、子供たちにも大好評となっている。 また、子供たちに地元産の食材としての「短角牛」について理解を深めてもらうため、「出前授業」が開催され、市町村長さん、校長先生と一緒に給食を食べるとともに「地産地消」の意義についての勉強会が行われた。 こうした取組みの中で、各市町村では地元産ブロイラー鶏肉の利用拡大をはじめ、地元産雑穀・野菜を利用した「伝統料理」のメニュー化など「地産地消」に向けた新たな取組みが行なわれている。
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