◎地域便り


埼玉県 ●Know Howを活かす(東京農政事務所 安全管理課)

調査情報部


 カチャカチャと聞こえるガラス音、独特なアルコール臭。「こちらです。」と案内されたのは、精密機器が立ち並ぶ実験室。ここは東京都多摩市にある財団法人日本食品分析センター多摩研究所である。

  7月1日に、大幅に改正された飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(以下「飼料安全法」という。)の施行により、飼料の登録検定機関は公益法人のみならず、一定の要件を満たした機関であれば登録できることとなった。(財)日本食品分析センター多摩研究所は飼料の公定規格が遵守されているかどうかを客観的に検定するための登録検定機関として、関東農政局管内だけではなく、全国的にも先がけて、最初に登録のための調査が行われた法人である。

 そこで、当センターに適切な分析機器等が設置されているかどうか、実際の実験室内での調査を命じられたのは、7月1日付けで農林水産省の新たな組織体制の整備により生まれ変わった、関東農政局東京農政事務所安全管理課で畜産安全を担当している大塚技官である。

 大塚技官は偶然にも、組織改編前の食糧庁時代に、米麦の品質確保のための成分分析を職務としたことがあり、その長い分析経験のため、高度な精密機器等、分析に必要とされる豊富な知識を基礎に、新たに配属された畜産安全業務の分野にもこの知識を活かしている。

 飼料分析を行う機器には、法律に定められた機械器具のほか、検定に必要な純水装置、恒温乾燥機、窒素分解装置、窒素蒸留装置、粗繊維煮沸装置等があり、実際の分析を行う検定員にも「飼料安全法」上の要件があり、分析経験の有無が確認される。調査時に立会人として分析機器の説明をしてくださったのは、分析歴9年のベテラン検定員である同研究所の基礎栄養部基礎栄養分析課主任の永田秀明さんである。実験室内では、たん白分解のために化学薬品を入れ、緑色の液体が入っているフラスコを前に分析時間や機器類の性能などを説明していただいた。

 今回の農林水産省設置法の改正により、食糧事務所が廃止され、農政事務所が設置された。これを受けて全国の農政事務所安全管理課職員は今回初めて畜産分野での業務に本格的に携わっているが、今回の業務のように、特に飼料分野については、今までの培われた経験を基に即戦力として活躍できる職員がたくさんいるのである。今後の畜産分野での活躍に期待したい。


 
フラスコの中は緑色の輝き(窒素分解装置)
データの説明をする永田主任と
調査員の大塚技官(手前)




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