◎地域便り


熊本県 ●”完成!”新系統豚「ヒゴサカエ302」(ランドレース種)

熊本県/西川 公康


 熊本県では、今年度県産ブランドづくりに向けて、このほど完成させた新系統豚「ヒゴサカエ302(ランドレース種)」と復元された地鶏「天草大王」を活用した取り組みをスタートさせた

 今回は、新系統豚「ヒゴサカエ302」を活用した県産ブランドづくりについて紹介する。

 「ヒゴサカエ302」は、熊本県農業研究センター畜産研究所(所長森崎征夫)が、平成7年から7世代、8年の歳月をかけて造成したランドレース種で、平成15年に完成させた。

 県内では、これまで、平成2年に系統造成された「ヒゴサカエ301」が繁殖母豚の基礎豚として活用されてきたが、養豚農家の規模拡大が進み、母豚のストール飼育が定着する中で、母豚の繁殖供用年数の延長が経営改善策上も大きな課題となっていた。

 そこで、畜産研究所では、肢蹄が強く繁殖供用年数が期待できる基礎豚の造成に取り組み、母豚として必要な繁殖能力とDGが1kgを上回る発育性に加え、骨格が太く、強健性に優れた「ヒゴサカエ302」を造成させたものである。

 平成15年7月に、(社)日本種豚登録協会から系統豚として認定されたため、県下の養豚農家に育成雌豚を供給し、相性テストを実施しているところであり、今後は、畜産研究所を核に、養豚関係者等と協議の上、広く県下の養豚農家に普及させていく予定である。

 なお、県では、平成11年度から農業関係団体及び消費者等と一体となり、「元気!いきいき くまもと21農業振興運動」を展開している。

 この運動は、「変革による農業の元気づくり」と「地産地消による生産者と消費者の共生関係づくり」を基本目標として掲げていることから、畜産研究所では、「ヒゴサカエ302」を活用して、消費者ニーズに対応した「安全・安心な畜産物」の提供や、「地産地消」を積極的に支援する試みを始める。

 具体的には、「ヒゴサカエ302」を交雑肉豚の基礎豚に利用して生産された肉豚の地産地消を進め、県産ブランド化を支援するため、認定基準の作成や関係機関との連携・調整を行うための協議会の設立を準備している。



 
表1 新系統豚「ヒゴサカエ302」の能力

骨格が太く、強健性に優れた「ヒゴサカエ302」
 




元のページに戻る