◎地域便り


山梨県 ●食の安全を確保する(せき柱分離に関する同行調査)

調査情報部


 山梨県には伝統的な馬肉の食文化があり、富士山の麓に位置する南都留郡富士河口湖町にある(株)肉のささきでも、1カ月に2〜3頭分の馬の枝肉を仕入れ、バックヤードで枝肉処理をして、店頭で販売している。牛肉についても同様で山梨県の銘柄牛である甲州牛を月に2〜3頭単位で(株)山梨県食肉流通センターから仕入れ、枝肉処理して販売している。処理した牛枝肉から出る骨のうち背根神経節を含むせき柱については、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」が改正され、5月1日から飼料原料としないこととされた。

 関東農政局山梨農政事務所の畜産安全係長の谷島浩技官は、プリオン蓄積の可能性が指摘されている背根神経節が飼料用動物性油脂原料にならないことを確認するため(株)肉のささきを訪た。プリオンは骨自体に蓄積されることはないが、背根神経節のみを除外することは難しく、背根神経節を含むせき柱全体を取り除くことにより、食の安全性を確保するためである。

 せき柱分離の経緯は、平成15年11月21日に食品安全委員会が背根神経節を含む牛のせき柱について、「特定危険部位に相当する対応を講じることが適当」と食品健康影響評価を示したことによる。

 厚生労働省は背根神経節を含むせき柱については、と畜場での除去が困難なことから、これまでの特定部位※※と異なり、と畜場での焼却を義務付けないこととした。そのため農林水産省はこれに対する新たなリスク管理措置を行うこととしたものである。

 さて、(株)肉のささきは飼料用動物性油脂の製造業者である信陽製油株式会社と原料残さの供給についてせき柱分離の契約を締結し、信陽製油株式会社の取締役の伊藤さんが契約書のとおり、原料残さにせき柱が混入しないことを確認するとともに谷島技官も農林水産省のチェックシートにより、せき柱分離がなされているかどうかを確認した。この日は残念ながら牛せき柱の搬出はなかったものの、(株)肉のささきでは全てのチェック項目にOKがでた。このように農政事務所職員は地域における牛せき柱の取り扱い店1件1件について地味ながらも根気よく食の安全を守るため、牛せき柱分離の状況を確認調査している。

※特定危険部位:脳、目、せき髄、回腸遠位部

※※特定部位:頭部(頬肉、舌を除く)、せき随、回腸遠位部


 
残念ながら本日は牛せき柱はなし
 
油脂メーカーである信陽製油株式会社の伊藤さん
(収集車の前で)

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