食文化、食育、地産地消を活動の柱に、自分たちの暮らしや生き方、生産者との関係、地域社会のあり方などを問い直そうとする実践的哲学としてのスローフード運動に学び、北海道らしいスローフードの展開方法について参加者とともに考えていくことをテーマとし、消費者に食や農について正しい知識を理解してもらうため、農畜産業振興機構、北海道、北海道開発局、フードランド北海道2004(札幌商工会議所関連)とともに、「北海道・北のめぐみフォーラム」を開催することとなった。
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オープニング・メッセージ:高橋はるみ北海道知事 |
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基調講演:川勝平太氏
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北海道・北のめぐみフォーラムは、平成16年10月3日(日)札幌グランドホテルで行われ、消費者、生産者、行政関係者などおよそ300人の参加があり、会場は熱気に包まれた。フォーラムは、高橋はるみ北海道知事のオープニング・メッセージ「北海道スローフード宣言」で始まった。高橋知事は、「北海道は食料供給基地にとどまらず、食文化の発信基地へ転換しつつある。北海道ならではの食のあり方が今、問われている。」とあいさつした。
続いて、国際日本文化研究センター教授である川勝平太氏による「スローフードな世界へ〜食との関わり方を見つめ直す〜」と題した基調講演が行われた。
川勝氏は「ファーストフードの対極にあるのはスローフードで、ファーストフードは東京が盛んで、その先にアメリカがある。食の中央集権ともいえる。これに対しスローフードは地方的で、地域の自立につながる。スローフードは地方分権である。」と述べた。また、「森の州(北海道、東北)、平野の州(関東)、山の州(中部)、海の州(瀬戸内海、西日本)のようにある程度規模を大きくすることにより独立的になれる。文明の名のもとにつぶされてきたのが森、森と土と水は一体のもので、新しい文明は森作りである。北海道は新しい文明を担うことができる。また、スローフードは日本のお茶が原点で、もてなしの心がなくてはならない。いい食材には、いい環境がなくてはならず、いい環境を作って行かなければならない」と説明した。
講演に引き続き「北海道らしいスローフードの展開をめざして」をテーマとしたパネルディスカッションがコーディネーター林美香子氏(スローフード&フェアートレード研究会会長)の進行により行われた。パネリストとして、小田豊氏(NPO法人小田豊四郎記念基金理事長)、吉田徹氏(函館短期大学付設調理師専門学校教頭)、中村由美子氏(グループ夢菜代表)が参加し、それぞれ食文化、教育、生産者と市民の交流の立場で、討論を行った。
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パネルディスカッションの模様
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小田氏の「入社試験に今日の朝ごはんは何を食べたかを聞くと、受験者の家庭がどんな様子か分かる」という話、吉田氏の「調理学校に来る生徒の30%は包丁を握ったことがない」という話、中村氏の「ニンジンの葉を見ても何の葉か分からない子供たち」の話など、パネリストらはそろって食育が必要であるとの意見で一致していた。
広い意味でのスローフードには、地産地消、食文化、食育などいろいろな広がりがある。それぞれが独立して存在するものではなく、それぞれが重複している。参加者は、スローフードの意味の理解を深め、またスローフードを通した北海道の可能性について、認識を深めることができた。
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