埼玉県は、県、農林漁業関連事業者、食品等事業者、そして県民(消費者)が"食の安全・安心"を築く「埼玉県食の安全・安心条例」を制定し、平成16年9月1日から施行した。この条例は、食の安全・安心の確保に関係する者すべてが、それぞれの責務、役割の下に埼玉県が「日本一
食に頑張る埼玉」を目指すものである。ここで条例のポイントを紹介する。
○条例のポイント
1 県民参画の充実・関係団体との協働
(1)県民の意見交換の促進など
「食の安全・安心」確保のためには、食に関係する人たち相互のコミュニケーションが重要であるので県民会議の充実やフォーラムなどにより意見交換を進める。
(2)施策の提案
施策や制度に対する県民の意見などを反映する制度である。
(3)危害情報の申出
食品の安全性の確保が損なわれる事態発生などの情報を入手した場合に、県に対し、適切な対応をとるよう申出ができる制度である。
(4)関係団体との協働
県内には、食の安全・安心に関して活動している消費者や生産者・食品加工業者などの団体が数多くあり、これらの団体と協働して施策推進を図る。
2 安全・安心を一層高める事業取り組み
農業生産者、食品の加工・流通業者が、自主的に食の安全・安心を一層高める事業に取り組むよう求めるものである。埼玉県においては、生産ガイドライン(野菜生産や畜産における衛生管理の指針)に準拠した 農業生産、生産流通履歴情報の公開、彩の国ハサップガイドライン(自主衛生管理の指針)に準拠した食品の製造・加工などを進め、食の安全・安心を一層高める取り組みを推進する。
3 食育などによる知識の普及啓発
安全・安心で健康な食生活の実践には、「食」と「農」に関する正しい知識や理解が必要である。食品の安全性に関する知識はもとより、栄養や生活習慣病、食料自給率や地産地消に関すること、食に関する地域の歴史や文化に関すること、あるいは農業体験などを通じて、幅広く食育を進める。
○関係者の責務、役割
食の安全・安心を確保するためには、県、農林漁業関連事業者、食品等事業者および県民(消費者)がそれぞれの責務、役割を果たすことが重要である。条例では、基本理念にのっとり、関係者の責務、役割を規定し、それぞれの立場から食の安全・安心を確保することを求める。
○今後の展開
今後、本条例に基づき、県民の意見を聴きながら基本方針や行動計画を策定するとともに、県民会議や消費者などとの懇談会の充実、県民主体で進める食の安心サポーター制度など県民参画の施策をさらに充実していく。
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