●●●9月に2例、10月に1例、BSE感染牛を確認●●●
厚生労働省は9月13日、23日、熊本県および奈良県でのBSEに関するスクリーニング検査で陽性となった牛について、「牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議」の委員による検討の結果、BSEであると判断されたことを明らかにした。熊本県および奈良県のBSE感染牛は、それぞれ6才2カ月(62カ月齢、8才7カ月(103カ月齢)のホルスタイン種の雌牛である。
また、農林水産省は10月14日、北海道での死亡牛のスクリーニング検査で陽性となった牛について、「プリオン小委員会」において、BSEであると判断されたことを公表した。BSE感染牛は4才0カ月(48カ月齢)のホルスタイン種の雌牛である。
死亡牛検査でBSE感染が確認されたのは国内で2例目となり、国内のBSE感染としては14例目となる。
なお、BSE感染牛に由来する牛肉、内臓などは市場に流通することはない。
世界各国で、自由貿易協定の締結が行われている中で今年3月に日本、メキシコ両国政府は、豚肉や牛肉、鶏肉の特恵品目を含む内容で大筋合意し、9月17日に正式署名が行われた。このことによりメキシコとのFTA協定が来年4月1日から発効することとなる。
焦点であった豚肉については、差額関税制度を維持し、現状の従価税(枝肉輸入価格393.0円/kgを超えるものに課される関税)4.3%を半分の2.2%とする特恵輸入枠を設定するというものである。特恵輸入枠の数量は、17年度に3.8万トン、18年度5.3万トン、19年度6.5万トン、20年度7.4万トン、21年度8.0万トンとすることとなっている。22年度以降の枠については21年に協議することとなる。
この枠内の数量は、一般セーフガード(SG),特別セーフガード(SSG)の対象外となり、発動の数量から除外されることになる。
メキシコからの輸入は平成6年以降実績があり、その推移は図2の通りとなっており、15年度の輸入実績は、チルド10,029トン、フローズン24,500トン計34,529トン(15年度の日本の総輸入実績の4.4%)となった。なお、6年後の8.0万トンは15年度総輸入量の10%に当たることになる。
資料:貿易統計(財務省)
※6年以前は実績なし
●●●16年度のブロイラー需給見通しについて●●●
9月10日に農林水産省において全国ブロイラー需給調整会議が開催され、16年度のブロイラー需給見通しは、「需要量」165万5千トン(対前年度比▲3%)、「供給量」160万7千トン(同▲4.4.%)、「期末在庫量」4万5千トン(同▲51.6%)となっている。
需要量は、家計消費量、加工業務用が前年度と同水準となる一方、供給量のうち生産量は、前年度実績に比べ1万2千トンとわずかに減少し、また、輸入量が鳥インフルエンザ発生による輸入停止措置により相手国がブラジルに限定されていることなどにより前年度に比べ14%程度減少すると見込んでいる。
また、期末在庫量は昨年の9万3千トンを4万8千トン下回る4万5千トンとなり、これは過去3年間の平均11万5千トンと比較してもかなり低水準となっている。
会議での主なコメントとしては、生産者から(1)飼料価格の高騰による生産コストへ影響、(2)鳥インフルエンザの再発、(3)今夏の猛暑や台風によるブロイラーの消耗−などに憂慮するものが多かった。消費の傾向としては、鳥インフルエンザによる消費の停滞は回復したものの、猛暑による消費意欲の減退による影響などが聞かれた。
また各方面から、FTAの行方、鳥インフルエンザ感染ルートの解明などについての要望が出された。
●●●牛乳の平均購入価格、前回調査を下回る●●●
当機構の牛乳の小売価格調査速報によると、16年7月の牛乳1リットル紙容器の購入価格を価格帯別にみた構成比は、「191〜200円」の価格帯の割合が16.2%と最も高く、次いで「151〜160円」の価格帯が14.0%、「161〜170円」および「171〜180円」が12.7%、「181〜190円」が11.5%となり、200円以下の価格帯の全体に占める割合が77.2%と、前回調査(15年12月実施)と比較してかなり大きく上回った。また、平均購入価格は184.4円と前回調査の価格を3.6円下回り、各地区別(北海道・東北、関東、北陸・東海、近畿、中国・四国、九州)にみても同様の傾向があった。
図3 牛乳1リットルの購入価格帯構成(16年7月)
資料:機構「牛乳の小売価格調査」
●●●鶏卵の価格引き続き高水準●●●
総務省から公表された「小売物価統計調査報告」によると9月の東京都区部での鶏卵の小売価格(L玉10個パック)は、216円(対前年比14.3%高)となった。
昨年7月からの同価格前年同月比の推移は、図4の通りとなっている。
東京都下では、鳥インフルエンザ発生による鶏卵の購入意欲の停滞は明確に現れなかったため、1月以降大きな価格低迷は見られなかったが、疾病発生から全国的に生産に歯止めがかかり生産量が前年を下回る月が続き、価格は4月を境に前年を上回って推移した。
さらに、この夏の猛暑により産卵鶏の消耗が激しく、産卵率の低下、卵重の乗りの悪さなどが秋口まで続き生産に影響が出ている。これにより、鶏卵が特売対象から外れるなどして、価格が高水準を維持している。
また、農林水産省消費・安全局が昨年8月から各都道府県10店舗程度の量販店を対象とし毎週調査している「食品価格予察パトロール業務の緊急調査」による全国の平均価格(鶏卵Mサイズ10個入り)においても、4月下旬は156円、9月下旬は184円と半年で約30円も値を上げている。
参考:総務省の「小売物価統計調査報告」鶏卵の調査対象銘柄は、平成14年7月以降それまでの60g/個の鶏卵1kg単位から白色卵、Lサイズ、パック詰め(10個入り)と改正されている。
資料:総務省「小売物価統計調査報告」
※ 消費税込みの価格
●●●10〜12月期配合飼料価格、引き下げ●●●
全農は9月21日、10〜12月期の配合飼料供給価格を全国全畜種総平均トン当たり約4,200円値下げすることを公表した。トウモロコシや大豆かすなどの値下げが大幅なことから、原料配合割合によって畜種別の改定額は大きく異なるとしている。
<最近の原料コスト動向など>
全農では、最近の原料コストの動向について次のように見込んでいる。
1.飼料穀物
トウモロコシのシカゴ定期は、(1)米国で理想的な天候が続いたことにより、本年の米国産トウモロコシが史上最高の生産量と予想されていること、(2)中国産についても豊作が見込まれていることなどから下落を続け、現在は240セント/ブッシェル(12月限)前後で推移している。
今後は、収穫期の天候と需要動向が相場変動要因となるが、(1)低温気味な気候推移から早霜による生産量減少懸念が出ていること、(2)需要増加による世界的な飼料穀物の需給ひっ迫傾向に大きな変化はないことから、価格は堅調に推移するものと見込まれる。
10〜12月期のトウモロコシ価格は、7〜9月期に対し大幅に値下がりするものと見通される。
2.たんぱく質原料
大豆かすのシカゴ定期は、米国産大豆の期末在庫率が史上最低水準となり、南米産大豆も当初見通されたほどの豊作ではなく平年並みの生産量となったことから、世界的に大豆・大豆かすのひっ迫感が高まり、高水準で推移した。7月に入り米国産大豆の生育が天候に恵まれ順調に進んだこと、中国の大豆輸入が減少したことにより相場は下落を続け、直近では180ドル/ショートトン(9月限)前後で推移している。
10〜12月期の国内大豆かす価格は、シカゴ定期の下落により、7〜9月期に対して大幅に値下がりすると見通される。
輸入魚粉は禁漁期に入り輸入価格は高値安定している。また国内魚粉の生産は引き続き低調であるが、大豆かす価格が値下がりする見通しであり、10〜12月期の価格は前期に対して若干の値下げが見通される。
3.海上運賃
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、5月に中国が南米産大豆輸入を停止したことをきっかけに下落したが、その後中国の南米産大豆の輸入再開により反発し、直近では50ドル/トン台前半で推移している。
今後は、(1)中国を中心とする世界の粗鋼生産量増加に伴う鉄鋼原料の荷動きが依然として活発なこと、(2)豊作が予想されている米国産穀物の輸出増加による船腹需要増が見込まれること、(3)史上最高値を更新した原油価格が今後も船舶用燃料価格を押し上げる懸念が強いことなどにより、堅調な相場展開が予想される。
この大幅な値下げにより、配合飼料価格安定制度による補てん金は交付されない。
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