「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の推進に関する法律」により、家畜排せつ物の処理や保管施設の構造基準など畜産農家が遵守するべき管理基準が定められ、5年間の猶予期間が終わり、本年11月から施行されることとなっている。
畜産農家にとっては、大きな課題になっているが、町ぐるみで家畜排せつ物の処理と食品残さを結びつけ、地域資源をリサイクルしながら良質なたい肥生産・環境保全型農業を目指している「茂木町有機リサイクルセンター(以下「美土里館」という。)」をご紹介する。
茂木町は、栃木県の東南部で八溝山系の麓に位置し、清流と広葉樹林、棚田が調和した農林業中心の美しい田園地帯である。ここに資源リサイクル畜産環境整備事業などで建設された総事業費6億3千万円の美土里館は、平成15年4月にオープンし、町内から出る家庭からの生ゴミ、畜産排せつ物、間伐材のおが粉、落葉、もみ殻の5種類を混ぜ合わせ、4ヵ月間かけて撹拌高温発酵などを行い、臭いのない良質なたい肥を生産している。
町内の牛飼養農家は28戸あり、うち全ての酪農家13戸が当該センターを利用し、牛250頭余りの排せつ物が1日10トン程度資源としてたい肥の原料に向けられている。各畜産農家への収集は、美土里館の職員が週2〜3回バキューム車、バーンクリーナー用コンテナ車などで回収し、トン当たり600〜800円の処理料はかかるものの、農家の家畜排せつ物の管理と労働力軽減や悪臭、地下水の汚染防止に大きく寄与しているところである。
当該センターを利用し、50数頭を飼養している酪農家は、「今までふん尿の処理に多くの労力を費やしてきたが大幅に軽減された。個々に施設を設ける場合と経費負担やランニングコストを比べてもセンター利用が出来て大変ありがたい」と話していた。
なお、生産されたたい肥は、バラで4,000円/トン、袋詰400円/10キロで販売され農家などで利用されている。
「土づくりは農業の基本、良質のたい肥で土づくりをしっかりやれば作物は健康に育ち、農薬はいらない、地域資源リサイクルたい肥の品質の良さをアピールしていきたい」とセンター長である矢島さんが熱く語ってくれました。
資源循環型社会に向けて農家や消費者からも期待が高まっており、施設見学に訪れる人も絶えず、県内から注目を集めている。
年間処理・製造能力
家畜ふん尿
家庭からの生ゴミ
枯葉、もみ殻
不用木おが粉
堆肥・液状肥料 |
3,228
512
500
200
計4,440
約2,000
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トン
トン |
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円形発酵撹拌棟外観
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牛舎からバーンクリーナー用コンテナへ搬出
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