埼玉県日高市で酪農業を営む加藤忠司さん(61)は、「おいしい牛乳をそのまま消費者に届けたい」という想いから、平成7年、農場内に生乳加工プラントを設置し、牛乳と乳製品の直売を始めた。現在は、県内に2店舗の直営店を経営している。
高品質な牛乳や乳製品を作るためには、かなめとなる牛の飼養管理への努力を怠らない。平成7年に米国から優良素牛を2頭導入し、血統を重視した選抜を本格的に開始した。その成果は、県乳牛共進会や生乳品質共励会における数々の受賞経験に顕れている。また、牛群能力の向上に努め、牛群検定の成績による計画的とう汰によって、平成15年度には搾乳牛1頭当たりの平均乳量が9,252kgにまで増加した。1頭毎の乳量や搾乳時間はコンピュータでデータベース化され、乳房炎の初期段階から確実にチェックされている。さらに、自給飼料の定期的な成分分析を飼料設計に活かすなど、乳質向上に努めている。
平成4年に有限会社化し、大規模酪農経営を始めた。平成8年に生乳加工プラントを整備し、平成9年から低温殺菌牛乳(63度30分殺菌)、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズなどの販売を開始した。販売は県内外の直営店で行うとともに、全国の百貨店にも並んでいる。また、各地のイベントにも積極的に出店しており、来場者にも好評で行列が途切れることがない。
加工部門は長女の夫を中心に行っている。徹底された品質管理、新商品の開発および定期的なイベント開催はリピーターを産み、安定した売上を確保している。また、HPの開設によって経営内容、イベント、商品のPRを行うとともに、経営者自らが全国に出向き、年間80日間におよぶイベント販売を行っている。その他、近隣市町村の特産物の生産・加工グループと連携して商品を開発し、相手方のブランドによる販売も行っており、地域の活性化に寄与している。
経営者の飼養管理や加工などへの取り組みは高い評価を受けており、今年の第53回全国農業コンクール(毎日新聞社・福岡県主催)で優秀賞を受賞するなど、将来性が期待される酪農家である。
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8連ダブルのミルキングパーラー
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加工プラントに隣接する直売店
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