◎地域便り


兵庫県 ●ハーブ添加による牛ふん発酵たい肥の悪臭防止効果

兵庫県/高田 修


 園芸ブームの中、家庭で野菜や花きを栽培する機会が多くなっている。しかし、発酵たい肥といえども特有のたい肥臭は不快なものである。そこで、ハーブを副資材として牛ふんに添加した発酵たい肥を作製し、発酵状況と臭気の変化を調査した。

[発酵たい肥の作製方法]

 乳牛の生ふんを戻したい肥(生ふんを発酵処理して40%程度の水分にしたたい肥)と混合して水分を約70%に調整する。これに、約10%量(重量)のハーブを混合し、容量80リットルのポリ桶に満杯程度投入する。ポリ桶はハウス内に保存し、1週間ごとに切り返しながら4週間発酵処理した。ハーブにはオレガノ、ペパーミント、フェンネル、アニス、キャラウエイ、クローブを使用した。

[ハーブの添加効果]

1.ハーブを添加することにより、たい肥の発酵が促進された。4週間のたい肥平均温度は、ハーブ無添加に比べフェンネル、アニスは15度、キャラウエイは12度、オレガノは9度高かった。また、たい肥の有機物消失率もハーブ添加により高まった。

2.ハーブを添加して発酵処理することにより、牛ふんたい肥の不快臭が無くなるとともにハーブ臭の付加により快適度が高まった。ハーブ臭効果はオレガノが最も高く、フェンネル、アニスなども有効であった。

3.オレガノ添加たい肥でこまつなの発芽試験と栽培試験を実施したが、成績は良好であり、たい肥としての肥料効果も高いことが確認できた。

[ハーブたい肥の活用方向]

 ハーブによるたい肥の悪臭防止効果はオレガノが最も有効であった。オレガノは栽培も容易であるため、自家栽培で安価に入手することも可能である。ハーブ添加による発酵たい肥は、用途としては家庭園芸用であるため、畜産農家としては特殊な利用形態となるが、たい肥の消費販路拡大に結びつけばありがたい。また、商品化のためにはペレット化などの成形も考慮する必要があると思われる。

たい肥発酵温度の比較(期間内の平均値)
ハーブ臭の比較(終了時の臭気度:0〜4評価)

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