●●●16年の肉用牛飼養頭数、0.6%減少●●●
農林水産省が8月3日に公表した「畜産統計」によると、平成16年2月1日現在の肉用牛の飼養戸数は9万3,900戸と前年に比べて4.3%減少した一方、飼養頭数は0.6%減の278万8千頭とわずかな減少にとどまった。品種別では、肉用種が170万8千頭、ホルスタイン種ほかの乳用種が47万2千頭といずれも前年並みの水準を維持したのとは対照的に、交雑種は60万9千頭と前年に比べて2万1千頭下回った。こうした交雑種の減少が、肉用牛全体の飼養頭数を押し下げる結果となった。(図1)
図1 肉用牛の飼養動向(品種別)
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資料:農林水産省「畜産統計」
注:各年2月1日現在 |
飼養頭数を県別にみると、12道県で増加もしくは前年並みとなったものの、35都府県で前年を下回った。飼養頭数の上位は、北海道、鹿児島県、宮崎県、熊本県、岩手県となり、前年と変わっていない。このうち岩手県を除く上位4道県は飼養頭数が増加もしくは前年並みとなった。特に熊本県では、褐毛和種などの減少を黒毛和種、交雑種の増加が上回り、全体では4.4%増と上位4道県の中で最も高い伸びを示した。
次に子取り用めす牛の飼養状況をみると、飼養戸数は5.2%減の8万戸、飼養頭数は2.9%減の62万4,300頭となった。年齢別では、更新牛となる1歳未満および1歳の頭数が5%以上減少しており、今後、子牛生産の更なる減少が懸念される。(表1)
●●●8月1日より4年連続でSG発動●●●
財務省は7月30日、豚肉などの関税の緊急措置の発動日を8月1日とすることを告示した。近年の発動は4年連続で8月からの発動となった。
これは平成16年4月から6月までの豚肉等の輸入量が316,755トンとなり、あらかじめ財務省が告示した第1四半期の発動基準数量257,004トン(過去3年における当該期間中の平均輸入量の119%)を超えたため、関税暫定措置法に基づき年度の残りの期間について、基準輸入価格を(WTO譲許水準に)引き上げるものである。
昨年度の豚肉の輸入量は、緊急措置発動下でありながら10月以降増加傾向で推移した。昨年12月に米国でBSEが発生、米国からの牛肉輸入が一時停止され、その代替需要などから年度末在庫が15万トンと高水準で推移しているにもかかわらず、豚肉の輸入量は急増し続け、さらに16年4月からは、緊急措置が解除されたことから、通関を3月から4月に一部繰り延べた分を含め輸入量が増え、これが第1四半期の輸入量を押し上げる形となって、7月に発動基準を上回ったものである。
この時期、特筆すべきこととして、米国BSE発生による代替需要により、在庫水準が高まっていたデンマーク産の冷凍品の伸びが突出したことがあげられる。(図2)
なお、発動後の基準輸入価格は、以下のとおり
・枝肉 409.90円/kg → 510.03円/kg
・部分肉 546.53円/kg → 681.08円/kg
図2 豚肉輸入主要国の輸入量の推移とSG発動期間
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●●●鶏肉の家計消費動向●●●
総務省の家計調査報告による6月の鶏肉の家計消費は1人当たり277g(▲0.9%)とほぼ前年並みに回復した。
平成12〜14年度の月別平均家計消費量(一人当たり)の動向と最近の消費量を比較すると国内で鳥インフルエンザ発生したことによる買い控えが、今年の1月から4月までに顕著に表れたものの、5月以降ほぼ平年並みに回復してきた。(図3)
また、鶏肉に対する支出金額は、一人当たり248円(▲3.5%)とやや前年同月を下回っているものの最低水準であった3月から徐々に回復傾向にある。
しかし、鶏肉全体の出回り量のうち特に国産品は、生産抑制などによる品薄感があり、95,992トン(▲3.5%)となっており、小売価格への影響も懸念される中、「主要食品の小売価格等の見通し」(農林水産省消費・安全局消費・安全政策課)による4月以降の小売価格見通しでは、前年並みが見込まれている。
図3 過去3年間(12〜14年度)の鶏肉家計消費量と最近の消費量
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●●●鶏肉の輸入停止対象国15カ国に●●●
8月9日現在、鶏肉の輸入停止措置が講じられている国(地域)はマレーシア、南アフリカ共和国が加わり右表のとおりの15カ国と米国の一部地域である。
その中には、従来主要輸入国であったタイをはじめ中国、韓国などが含まれており、輸入量に大きな影響を与えている。
前項でも述べたとおり、家計の消費量は回復の兆し示しているものの、鶏肉全体では輸入量の停止などからも品薄感があり、輸入鶏肉の主な実需先である外食、給食、弁当などの業務加工業者に対して大きな影響を与えている。
●●●乳用牛の飼養戸数は3.4%減少、頭数は1.7%減少●●●
農林水産省が8月3日に公表した「畜産統計」によると、平成16年2月1日現在の乳用牛の飼養戸数は、前年に比べて3.4%減の2万8,800戸となった。
飼養頭数は1.7%減の169万頭となった。このうち、経産牛は108万8千頭と2.9%減少したものの、未経産牛は60万3千頭と前年並みの水準を維持した。飼養戸数の減少率が飼養頭数の減少率を上回った結果、1戸当たりの飼養頭数は、前年から1頭増加し、59頭となった。(表3)
飼養頭数を年齢別にみると、2歳以下および3〜8歳の頭数がわずかな減少となっているのとは対照的に、9歳以上の頭数は6.7%減の6万8,300頭とかなりの程度減少した。これは15年以降の、主に加工用に仕向けられる経産牛の枝肉卸売価格の回復に伴い、高齢牛を中心として更新が推進されたものとみられている。なお、9歳以上の飼養頭数は、全飼養頭数のわずか4%を占めるにすぎない。(図4)
図4 乳用牛の飼養頭数の増減率(前年比)
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資料:農林水産省「畜産統計」
注:各年2月1日現在 |
●●●マヨネーズ・ドレッシング類への原料卵使用量、停滞●●●
家庭における調理方法やメニューの多様化などを背景に、マヨネーズ・ドレッシング類の消費は微増傾向にある。総務省「家計調査報告」(全世帯)による近年のマヨネーズ・ドレッシングの家計消費量は、1.5kg/人/年程度の消費で推移している(図5)。
全国マヨネーズ・ドレッシング類協会による15年のマヨネーズ・ドレッシング類生産量は、392,079トン(0.2%)と前年並みとなった。内訳をみるとマヨネーズ生産量は230,788トン(▲3.1%)とやや減少し、液状ドレッシング類は161,291トン(5.4%)はやや増加となった。
マヨネーズ・ドレッシング類に使用される鶏卵に着目してみると、農林水産省総合食料局 食品産業振興課の資料によるマヨネーズを含むドレッシング類の原料卵の使用量は、15年度、66,277トン(▲11.5%)とかなり大きく減少している。今後も、消費者のニーズが鶏卵使用量の少ないタイプの液状ドレッシング類へ移行していくと、鶏卵使用量がさらに減少していくものと予想される。(図6)
図5 マヨネーズ・ドレッシングの年間家計消費量(全国1人当たり)
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資料:総務省「家計調査報告」 |
図6 ドレッシング原料卵使用量の推移
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資料:農林水産省総合食料局 食品産業振興課 |
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