高知県/萩原 一也
高知県中村市で酪農を営む岡村絹さん(55)の飼育する乳牛が(社)日本ホルスタイン登録協会の体型審査を受け、高知県初の自家産牛でのエクセレント評価(90点)を獲得した。 この乳牛は「ヒルソンフアーム チエリー サウスウインド バーリー」。6歳4産で体重は875キログラム。3月13日に開催された、高知県下の乳牛が体型の良し悪しを競い合う共進会「高知県ブラック&ホワイトショー」でも見事11部(5才〜6才未満)で最優秀賞に輝いた。 岡村牧場は現在、搾乳牛約60頭を飼育しており、絹さんの両親、絹さんの長女である小百合さん(26)の4人で経営。絹さんの父である開さん(79)が45年ほど前に乳牛1頭から飼い始めた。開さんは昔から改良に熱心で、カナダや北海道からも乳牛を積極的に導入して現在の牛群の礎を築いた。絹さんは高知県立帰全農場を卒業後、前橋市の酪農家で研修した後に就農、日々乳牛の飼育に汗を流している。小百合さんは地元の幡多農業高校を卒業後、北海道の酪農学園大学短期大学部に進学、本場で酪農を学んだ後に就農した。また、絹さんの弟である隆生さん(50)は産業動物獣医師として地域の畜産農家で診療を行う傍ら、診療はもちろん人工授精や牛群改良面でも岡村牧場の支えとなっている。 岡村牧場の経産牛乳量は8,000キログラム台と決して高くはないが、四万十川の河川敷で生産した牧草を主体とした飼料給与で堅実な経営を実践している。牛群改良面では開さんが築いた母牛群をもとに牛群検定成績に基づいた選抜とう汰を実践し、隆生さんが交配種雄牛を選定。飼養管理は絹さん、小百合さん、絹さんの母である弥生さん(73)が1頭1頭に愛称を付けて愛情込めて育てている。BSEや環境問題など酪農家にとって厳しい状況でも、家族全員が乳牛を愛し、助け合いながら3代にわたって牧場を支えてきた。その結果、県内はもちろん四国の共進会でも上位入賞の常連となり、今回のエクセレント牛輩出につながった。 絹さんは今後の目標について「能力の低い牛をとう汰して少し規模を縮小し、個体管理を徹底して1頭当たり乳量を高めていきたい。また、周辺の環境を整備して一般の人が見てもイメージの良い牧場にしていきたい。」と語ってくれた。
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