宮城県/阿部 総明
宮城県栗駒市若柳地区は、ラムサール条約で名高い伊豆沼に近く、遠くに栗駒山を望む風光豊かな土地である。名産の一つである若柳牛は、昭和43年、旧若柳町から東京食肉市場へ出荷が始まり、平成5年には販売頭数が1,000頭、販売金額も10億円を突破して有力な産業となった。現在もJA栗っこ若柳牛肥育部会の約90戸で約2,000頭を飼養し、東京へ年間800頭余り出荷している。栗原農業普及センターでは関係機関と連携し、肥育技術の向上と一般消費者へのPR対策の二本柱を立て、若柳牛の振興を支援している。 肥育技術の向上 肉質等級を低下させている原因の一つである筋間水腫(いわゆる「ズル」)については、過去3年分のデータを基に、性別、血統、出荷時期別などの発生傾向をまとめ、改善策の検討や研修会を開催している。また、例年11月には若柳牛枝肉共励会が東京食肉市場で開催されており、平成17年で35回を数えた。 平均価格は概ね百万円を超え、枝肉重量についてもここ数年増加傾向にある。 一般消費者への知名度向上 若柳牛協会(若柳牛のPR母体)が平成16年にホームページを設置し、プレゼント企画を掲載したこともあってアクセス件数が急増し、PR効果は高いものであった。また、従来から使っているシンボルマーク(桜模様)の商標登録の申請支援も行った。 消費拡大キャンペーンは主に首都圏の販売店や若柳(町)秋祭りでの活動が中心で、平成16年は一般消費者を対象に5,000円の会費制で牛肉の試食会を開催した。生産者も多数参加者して消費者と交流ができ、牛肉も柔らかくて風味があると好評であった。また、子供たちにも地元の若柳牛のおいしさを味わってもらうため、若柳地区の幼稚園や学校給食へ牛丼用の牛肉を提供し、喜ばれている。これらの支援は今後も継続していく予定である。
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