需給動向 国内

◆共 通◆

平成20年度畜産業振興事業の追加緊急対策事業等の概要


 当機構は、平成20年6月12日に開催された食料・農業・農村政策審議会畜産部会からの答申・建議および配合飼料価格の高騰など最近の畜産をめぐる情勢を踏まえた農林水産省からの要請を受け、平成20年度畜産業振興事業の追加緊急対策事業を実施することとしている。

 今回の追加緊急対策は、本年2月に政策価格決定の関連対策として平成20年度の畜産業振興事業が決定されて以降、さらに配合飼料価格の高騰が進展したことなどを受け、政策価格の期中改定とともに措置されたもので、合計738億円(配合飼料価格安定制度関係450億円、経営安定対策関係288億円)となっている。

 追加対策は、配合飼料価格安定制度の安定運用、経営安定対策の充実・強化などについて、新規あるいは既存事業の拡充などが実施されることとなっている。

 なお、事業の実施に当たっては、事業実施主体公募制の導入を行うことにより、事業実施主体の選定に当たっての透明性を高めるとともに、事業の効率的・効果的な実施に努めていくこととしている。

1.配合飼料価格安定制度の安定運用
 (1) 異常補てん基金の発動基準の引き下げ(新規)
   配合飼料価格安定制度については、配合飼料価格の高騰による価格補てんの継続発動により、通常補てん基金の運営に金融機関からの資金借入枠を上回る補てん財源の確保が必要となっている。このため、通常補てんにおける4%追加補てんを停止することに併せ、異例の措置として平成20年度第2四半期(平成20年7−9月)から第4四半期(21年1−3月)に限り、異常補てんの発動基準を115%から112.5%に引き下げ補てんを増額し、通常補てん基金からの補てんを軽減する。(なお、現在想定している水準で配合飼料価格が上昇した場合、発動基準の引き下げにより異常補てん基金からの補てんが100億円程度増額し、通常補てん基金の負担が同額だけ軽減されるものと見込まれる)。
 
 (2) 通常補てん基金への補てん財源の貸付(新規) 所要額350億円
   通常補てん基金の運営に金融機関からの資金借入枠を上回る補てん財源の確保が必要となっていることから、社団法人配合飼料供給安定機構から通常補てん基金に対し、配合飼料価格安定制度の基本的な機能を維持するのに必要な財源を貸し付ける。

   〈通常補てん基金に対する貸付条件〉
    ○貸付限度額
     :通常補てん基金の財源不足額

    ○償還期間
     :平成27〜29年度(3年間)
    ○貸付条件:無利子

2.経営安定対策
(1)酪農関連対策
 (1) 北海道酪農緊急経営強化対策事業(新規)所要額27億円
   酪農経営強化計画(3カ年計画)を策定し、自給飼料の生産拡大、飼養管理の改善、経産牛の増頭、肉用牛部門の導入などに取り組む北海道の生産者に対し、第2四半期から第4四半期までの期間、四半期ごとに支援交付金(経産牛1頭当たり5,700円/年以内)を交付する(20年度限り)。

 (2) 都府県酪農緊急経営強化対策事業 所要額 49億円(拡充分)
   本年2月に措置された都府県酪農緊急経営強化対策事業に参加している都府県の生産者が、自給飼料の生産拡大など既存の取り組みに加え、もう一つの取り組みを実施する場合、第2四半期から第4四半期までの期間、四半期ごとに加算金(経産牛1頭当たり9,000円/年以内)を交付する(20年度限り)。

(2)子牛関連対策
 (1) 肉用子牛資質向上緊急支援事業(新規)所要額 41億円
   家畜市場における取引価格が発動基準(40万円または都道府県平均価格のいずれか低い額)を下回った肉用子牛を生産した黒毛和種繁殖雌牛について、(ア)優良な種雄牛精液による人工授精または、(イ)優良な繁殖雌牛への更新−により肉用子牛の資質向上を図る肉用子牛生産者に対して支援交付金を交付する(20年度限り)。

  (ア)優良な種雄牛精液による人工授精
    ○発動基準を下回った場合
      1頭当たり 10千円
    ○発動基準を1万円以上2万円未満下回った場合
      1頭当たり 20千円
    ○発動基準を2万円以上下回った場合
      1頭当たり 30千円
  (イ)優良な繁殖雌牛への更新
      1頭当たり 50千円

(3)肥育牛関連対策
 (1) 肉用牛肥育経営安定対策事業 所要額 20億円(拡充分)
   推定所得が家族労働費を下回った場合(家族労働費割れ)に、国と生産者が積み立てた基金から家族労働費を下回った額の8割を補てんしているが、枝肉価格の低下により見込まれる補てん金の増加に対応した所要額を確保する。
  
 (2) 肥育牛生産者収益性低下緊急対策事業 所要額 63億円(拡充分)
   肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン事業)の算定において、推定所得が物財費割れとなった場合に、物財費割れの6割を補てんしているが、4%追加補てんの発動を停止することに伴う生産コストの上昇によって見込まれる補てん金の増加に対応した所要額を確保する。

 (3) 肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(新規) 所要額 40億円
   肥育期間を短縮するとともに、配合飼料使用量の低減を図るためエコフィードや自給飼料への給与飼料の変更など飼養管理方法の改善を行う計画(2カ年計画)を作成し、実施した肥育牛生産者(配合飼料価格安定制度の加入者)に対し、肥育牛の出荷頭数に応じた交付金(1頭当たり5,000円)を交付する(20年度限り)。

(4)肉豚関連対策
 (1) 肉豚価格差補てん緊急支援特別対策事業 所要額 24億円(拡充分)
   都道府県単位で生産者等自らが自主的に実施している肉豚価格差補てん事業について、各道府県団体が地域保証価格(豚肉の市場価格がこの価格を下回ったときに、生産者積立金により補てん金の交付が行われる価格)を飼料費の上昇分に見合う水準まで引き上げることができるよう、生産者積立金の積み増し原資の一部を供給する(積立金に対する国の支援割合は4分の1)。

 (2) 養豚経営緊急安定化特別対策事業(新規) 所要額 15億円
   1頭当たり配合飼料使用量の低減を図る取り組みの計画(2カ年計画)を作成し、実施する肉豚生産者(肉豚価格差補てん事業の参加者)に対し、豚肉の市場価格が地域保証価格を下回った場合に、肉豚の出荷頭数に応じた交付金を交付する(20年度限り)。

3.その他
(1)リース事業の貸付枠の前倒し(畜産経営生産性向上支援リース事業)
 畜産経営生産性向上支援リース事業に対する生産者からの要望が非常に多いことを踏まえ、事業初年度となる本年度の貸付枠について、当初予定よりも前倒しで増額して執行する(本年度貸付枠:当初予定45億円→70億円)。

(2)草地改良による飼料基盤対策の強化
 酪農家など個々の草地改良を確実に実施するため、生産性の低下が懸念される草地の高位生産草地等への転換を促進する高位生産草地転換促進事業(助成単価:基本型5万円/ha、公社型3万円/ha、20年度予算枠:5億円)において、すべての要望に対応できるよう執行予算を確保するとともに、草地単作地域型を新設(拡充済)し、更新期間の要件について特例的に短縮する(前回更新から5年経過→3年に短縮、公共事業から8年経過→6年に短縮)。

 なお、各事業の詳細については、当機構のホームページに事業内容、考え方等が掲載されているので、ご覧いただきたい。


元のページに戻る