需給動向 海外

◆豪 州◆

生産、輸出は減少ながらも、好調な国際価格を背景に酪農環境は好転


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産の落ち込みを受けて減少する乳製品生産量、最大で前年同期比16%減

 2年続けての干ばつにより、豪州の生乳生産量は最盛期の水準を大幅に下回って推移しているが、チーズ、バターなど主な乳製品の生産量も生乳生産減少のあおりを受けて、前年度実績を最大16%も下回っている。豪州の生乳生産量は、干ばつの影響がなかった2001/02年度(7〜6月)の1,127万1千キロリットルを頂点に、その後の相次ぐ干ばつの発生で乳牛飼養頭数の減少を招いたことなどから生産は減少に転じ、その後の生産回復は大幅に遅れている。また、2006/07年度の大規模な干ばつは、回復基調あった乳牛飼養頭数を一気に減少させ、また、生乳生産にも大きな打撃を与えたことから、この年度の生乳生産量は958万2千キロリットルと最盛期を15%も下回る結果になった。2007/08年度(7〜3月)の生乳生産量は前年度からの干ばつの影響を引きずり、大きく落ち込んだ前年度実績をさらに5.6%下回って推移している。この結果、2007/08年度(7〜4月)の乳製品生産量は、主な乳製品がいずれも減産となり、脱脂粉乳の前年同期比16.0%減を筆頭に、バターが同8.5%減、チーズが同3.4%減、全粉乳が同0.7%減となっている。

乳製品生産量(7〜4月実績)


輸出量は前年度割れも輸出総額は前年度比増、酪農経営も好転

 乳製品生産の減少は、輸出にも大きな影響を与えている。2007/08年度(7〜4月)の乳製品輸出実績をみると、脱脂粉乳が前年同期比31.7%減、バターが同29.0%減、全粉乳が同18.1%減といずれも大きな落ち込みをみせている。一方、チーズについては、輸出単価が他の乳製品に比べて高いことなどから積極的に輸出向けに仕向けた結果、同0.5%減の水準にとどまっている。世界的に乳製品需要が高まる中で、このような乳製品輸出量の減少は、輸出単価の上昇へとつながっている。豪州国内の酪農家にとっては、生乳生産が伸び悩む反面、国際価格を反映した乳価の大幅な引き上げは、酪農経営を改善へと導く要因になっているようだ。先日、デイリー・オーストラリア(DA)が公表した2008年版の酪農の現状および経営見通しに関する報告書よれば、酪農経営はコスト増の拡大といったマイナス要因があるものの、上昇する乳価を要因に経営状況は大幅に改善としている。豪州国内の乳業各社は、輸出需要を背景に生乳集荷量確保のため、今年度に入って度重なる乳価の引き上げを行っており、最大の生乳生産地であるビクトリア(VIC)州では、地域によって1リットル当たり60豪セント(62円:1豪ドル=104円)台の高水準に到達したところも出始めている。

乳製品輸出量(7〜4月実績)

乳製品輸出額(7〜4月実績)


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