需給動向 海外

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上昇するEUの豚枝肉卸売価格


◇絵でみる需給動向◇


 2007年のEUの豚肉生産は安定して推移したものの、家きん肉消費の回復、ロシアへの輸出量の減少の影響などを受け需要が伸び悩み、豚枝肉卸売価格は過去5年で最も低い水準で推移した。また、主要穀物生産地域の天候不順の影響による飼料価格の上昇から生産コストが上昇し、枝肉価格の低下と相まって農家所得が落ち込む年となった。このような中、民間在庫補助や輸出補助金などの需給や価格安定のための施策の導入が行われた。

 2008年に入り、EUの豚枝肉価格は、低迷した前年を上回るものの、低い水準でスタートした。しかし、2月下旬より大きく上昇を始め5月最終週のEU平均価格は100キログラム当たり158.34ユーロ(26,284円:1ユーロ=166円)と、前年の最高価格同147.03ユーロ(24,407円)をすでに7.7%も上回る水準まで上昇している。

豚枝肉価格の推移(EU平均)

 EU域内の豚枝肉価格は、日本と同様、出荷頭数が減少を始める6月頃より、バーベキューなどの豚肉需要の増加と相まって価格上昇を始めるが、今年は、過去3年と比較しても価格上昇の始まりが早くなっている。この要因としては、輸出補助金導入などの施策効果もあるが、昨年来の養豚経営の悪化などにより繁殖雌豚の減少を引き起こしており、この影響で肥育豚の出荷が減少しているためと考えられる。例えば、EUの豚肉主要生産国であるデンマークを見ると2008年4月の豚飼養頭数は、繁殖雌豚が前年同期比10.3%減とかなり大きく減少している。この動きと同様に肥育豚の飼養頭数も減少しており、特に50キログラム以下の肥育豚飼養頭数が同14.0%減と、今後の肥育豚の出荷頭数がさらに減少することが予想される。

 全般的にEUの食料品価格は上昇しているものの、豚肉価格の急激な上昇は、豚肉需要の減退を引き起こす恐れがあり、今後の価格の動向に注視が必要となっている。

デンマークの豚飼養頭数の推移


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