海外トピックス


ストライキ活動により、農畜産物の流通が滞る(アルゼンチン)


輸出に深刻な影響

 穀物の輸出税の算定方式を改める経済生産省決議が公布された翌日の3月13日から、生産者団体による農畜産物の出荷を停止および農産畜物の流通を妨げるための道路封鎖によるストライキ活動が、現在に至るまで断続的に行われている。

 ストライキ活動により主要幹線道路で車両の通行が妨げられていることから、農畜産物の物流が断続的に停滞している。このため、スーパーマーケットでの品切れなど農畜産物の国内供給への大幅な影響は見られていないものの、輸出に関しては生産地から輸出港への供給が滞っていること、ストライキ活動による混乱により政府の輸出許可が遅れていることなどから、輸出業者は期日になっても輸出契約数量が確保できないなど深刻化している。

(参考)現在までの主な動き
 ○ 生産者団体は穀物の輸出税の算定方式を改める経済生産省決議に不満を表明し、ストラ
  イキ活動を開始(3月13日)

 ○ 生産者団体は政府と妥協点を見出す交渉を行うため、30日間のストライキ活動の一時停
  止を宣言(4月2日)

 ○ 生産者団体は一時停止期間中に政府と妥協点を見出せなかったため、ストライキ活動を
  再開(5月7日)

 ○ 政府は牛肉製品の輸出に当たり、国内市場向けの備蓄を保有することを輸出業者に申告
  させる「ROE−ROJO」に関する決議を公布(5月7日)

 ○ フェルナンデス大統領との会合により和解に向けた機運が高まるものの、輸出税の見直し
  に関する政府提案は無し(5月14日)

 ○ 生産者団体は政府と妥協点を見出す交渉を行うため、ストライキ活動を停止(5月20日)

 ○ 生産者団体は穀物の輸出税の見直しの具体策について議論することを要求したものの、
  政府は準備不足を理由に具体策について議論することを拒否(5月22日)

 ○ 生産者団体は穀物輸出港のあるロサリオ市において一般市民を含む約20万人が参集し
  た抗議集会を開催(5月25日)

 ○ フェルナンデス官房長官との会合において交渉が進まず。生産者団体は「交渉再開の日
  程も決めず失望して交渉の場を離れた」と政府は「クーデター煽動者」と互いに非難(5月
  26日)

 ○ 生産者団体は政府と妥協点を見出せなかったため、ストライキ活動を再開(5月27日)

 ○ 小麦製品の輸出に当たり、政府が国内市場向けの備蓄を保有することを確認した上で輸
  出業者に許可を与える「ROE−VERDE」に関する決議を公布(5月28日)

 ○ 政府は輸出税の算出表を見直すことにより輸出税率を引き下がることを提案。一方的な
  提案であったため、生産者団体はこれを拒否(5月29日)

 ○ 政府と妥協点を見出す交渉を行うため、ストライキ活動を停止(6月8日)

 ○ 政府は大豆輸出税の増税分を社会セーフティーネットの整備に充てることを発表(6月10
  日)
 


ポスターによる広報活動も実施

 ストライキ活動の焦点となっている輸出税の算定方式を改めることによる輸出税の引き上げの目的の1つは、食品価格の上昇などインフレ圧力の低減である。

 以下のポスターは、生産者団体が発行しているものである。このポスターは街中に張り付けられており、生産者価格(緑で囲まれた数字)と小売価格(橙で囲まれた数字)が大きくかけ離れていること、生産者も消費者もインフレで損失を受けていることを強調することにより、ストライキ活動に対する一般消費者の理解を得ようとしているとみられる。
 


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