需給動向 海外 |
2008/09年度の生乳生産は、4年ぶりに増加見込み |
生乳生産量は、前年度比1.6%減の937万5千キロリットルの見込み豪州の生乳生産量は、2005/06年度以降、連続して前年度を下回っていたが、2008/09年度は、4年ぶりに前年度を上回る見込みである。豪州農業資源経済局(ABARE)が9月に発表した農産物需給見通しによると、2008/09年度(7月〜6月)の生乳生産量は、前年度比1.6%増の937万5千キロリットルと見込まれる。これは、近年、減少傾向にあった経産牛飼養頭数が、飼料コストの低下から、増加に転じると見込まれるためである。豪州の生乳生産は、天候、かんがい用水の供給および購入飼料価格と密接な関係にある。主要酪農地域においては、平年並みの降雨が見込まれることから、粗飼料の供給量は改善されるとみられる。しかしながら、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州の州境に位置するマレー・ダーリング集水域では、酪農家は、かんがい用水に依存しており、かんがい用水の供給量の不足から、集水地での例年以上の降雨が必要とされる。加えて2008/09年度においても、飼料穀物価格の高値傾向が継続すると見込まれることから、ABAREでは、春季における粗飼料の供給量が、生乳生産増の鍵であるとしている。 2008/09年度の生産者乳価についてABAREでは、1リットル当たり51豪セント(43円:1豪ドル=84.9円)と前年度を2.8%上回る水準を予測している。これは、一定の生乳供給量を確保したい乳業メーカーの思惑と比較的高い乳製品国際価格を反映したものである。乳価の上昇は、投入コストが増加する中、酪農家の生産意欲を増加させるとしている。しかしながら、牛群の再構築の時期であることや、かんがい水の割当量が、特にマレー・ダーリング集水域において、依然として低いことから、ABAREでは生乳生産量の増加は、今後、鈍化傾向で推移すると見込んでいる。 生乳生産量および経産牛頭数の推移 乳製品生産量は軒並み増加、輸出額は国際乳製品価格の下落から減少の見込みまた、2008/09年度の主要乳製品の生産量は、生乳生産量の増加見込みから、前年度に比べ軒並み増加するとしている。品目別に見ると、バターは前年度比1.6%増の13万トン、チーズは同1.7%増の36万5千トン、全粉乳は同1.4%増の14万4千トン、脱脂粉乳は同1.8%増の16万7千トンと見込まれる。乳製品の総輸出額について見ると、2007/08年度は、輸出量の減少や豪ドル高にもかかわらず、国際乳製品価格の高騰により、前年度比13%増の27億6,300万豪ドル(2,346億円)となった。しかし、2008/09年度は、国際乳製品価格の下落から、同1.5%減の27億2,100万豪ドル(2,310億円)と見込まれる。主要乳製品を品目別に見ると、脱脂粉乳が同6%減の5億300万ドル(427億円)、全粉乳が同7%減の3億6,500万豪ドル(310億円)、バターが同1%減の1億9,300万豪ドル(164億円)、カゼインが同6%増の1億3,200万豪ドル(112億円)、チーズが同1%増の9億7,800万豪ドル(830億円)と見込まれる。 生乳生産量と主要乳製品の生産量の推移 |
元のページに戻る