需給動向 海外

◆豪 州◆

2008/09年度の対日牛肉輸出は減少見込み


◇絵でみる需給動向◇


2008/09年度のと畜頭数は前年度比1.1%減、牛肉生産量は同0.2%減の見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)は2008年12月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。これによると、2008/09年度(7月〜翌年6月)のと畜頭数は、前年度比1.1%減の870万頭と予測している。これは、主要肉牛生産地における気象条件の好転から、牛群の再構築が進むと見込まれるためである。クイーンズランド州やニューサウスウェールズ州北部では、ここ数カ月の間、平年以上の降雨があり、雌牛の保留をすでに開始している。こうしたことから、2008/09年度の牛飼養頭数は、同0.7%増の2,800万頭とわずかに増加するとみている。一方、牛肉生産量は、と畜頭数が減少するものの、1頭当たりの枝肉重量の増加が見込まれることから、同0.2%減の215万トンと前回公表に比べて減少幅が縮小する見込みである。1頭当たりの枝肉重量の増加要因については、穀物主産地の多くで11月の雨により収穫が遅れ、穀物の品質が低下したことから、飼料用穀物への仕向けが増加することや、肉牛主産地における気象条件の回復による牧草の質の改善や生産量の増加などが見込まれるためとしている。

牛飼養頭数、肉牛と畜頭数、牛肉生産量の見通し

 

豪ドル安や肉牛の保留傾向により家畜市場価格は前年度比4.9%高と予測

 2008/09年度の市場取引価格(加重平均家畜市場取引価格:枝肉重量ベース)についてABAREは、豪ドル安や肉牛の保留傾向による影響で、前年度比4.9%高となる1キログラム当たり300豪セント(195円:1豪ドル=65円)と予測している。今後の肉牛価格に影響を与える要因として、為替が豪ドル安で推移する場合、豪州産牛肉に対する引き合いが強くなることから、上げ圧力となる。一方、主要輸出先国において、金融危機により経済が低迷し、牛肉消費が減退する場合、下げ圧力となるとしている。

輸出量はわずかに増加が見込まれるが、対日向けは減少見込み

 2008/09年度の牛肉輸出量については、前年度比1.1%増の94万トン(船積み重量ベース)とわずかな増加が見込まれる。この要因としては、年度当初の5カ月(7〜11月)においてロシア向け、フィリピン向け、中東向けなどの輸出量が増加したことや、豪ドル安で推移する為替傾向が挙げられる。

 主要3カ国の内訳を見ると、日本向けは、年度当初の5カ月間の輸出量が前年同期比3%減となったほか、残る期間についても、経済の低迷による牛肉消費の減退や米国産牛肉との競合による減少が見込まれ、前年度比5.5%減の34万5千トンと予測される。しかし、日本円に対し豪ドル安で推移する為替相場は、豪州産牛肉の価格競争力を高め、牛肉消費の減退による輸出量の減少傾向を幾分緩和すると見込まれている。韓国向けは、米国産牛肉との競争で豪州産牛肉の輸出量が減少すると見込まれることから、同11%減の13万トン、米国向けは、経済の停滞から引き続き加工用の低級部位の牛肉に対する強い需要が見込まれ、同6.3%増の25万5千トンとそれぞれ予測されている。

牛肉輸出量、牛肉輸出額の見通し

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