2008／09年度の生乳生産量は、前年度比1.5％増の936万キロリットル

　豪州農業資源経済局（ABARE）が2008年12月に発表した農産物需給予測によると、2008/09年度（7月〜翌年6月）の生乳生産量は、前年度比1.5％増の936万キロリットルと見込まれる。この要因として、生産者乳価が比較的高いことや経産牛飼養頭数が同1.0％増の163万3千頭とわずかに増加すると見込まれることを挙げている。

　しかし、酪農の経営環境についてABAREでは、同国の主要酪農地域である南部地域、特にビクトリア州北部とニューサウスウェールズ州南部を中心とするマレー・ダーリング集水域で、かんがい用水に依存する多くの酪農家にとっては、かんがい用水の利用制限や利用コスト増から依然として困難な状況にあるとしている。

図1　生乳生産量および生産者乳価の推移

生産者乳価は前年度を下回るが、比較的高い水準が見込まれる

　2008/09年度の生産者乳価についてABAREは、国際乳製品価格の下落により、1リットル当たり47豪セント（29円：1豪ドル＝65円）と、前回公表から一転し、前年度を下回る水準を予測している。しかし、ABAREは、乳業各社では、近年の干ばつによる影響で生産量の縮小を余儀なくされていたことから、2008／09年度も生乳確保の動きは続き、生産者乳価は比較的高い水準が見込まれるとしている。

生乳生産量の増加に伴い、飲用向け、加工向けともにわずかに増加見込み

　生乳生産量の増加が予測される中で、2008／09年度の生乳生産量の仕向け先について見ると、飲用向けが前年度比1.6％増の222万3千キロリットル、加工向けが同1.4％増の713万7千キロリットルとそれぞれ増加が見込まれている。このため、主要乳製品の生産量は軒並み増加し、バターは1.6％増、チーズは1.7％増、脱脂粉乳は1.8％増、全粉乳は1.4％増と予測している。

主要乳製品の輸出量は増加するも、国際乳製品価格の下落から輸出額は減少見込み

　2008/09年度の主要乳製品の輸出量予測を見ると、バターは前年度比1.8％増の5万8千トン、チーズが同1.5％増の20万6千トン、脱脂粉乳が同1.6％増の12万5千トン、全粉乳が同1.2％増の8万3千トンとそれぞれわずかに増加すると見込まれる。一方、輸出額については、乳製品国際価格の下落により、バターが同4.1％減の1億8,700万豪ドル（122億円）、チーズが4.0％減の9億2,900万豪ドル（604億円）、脱脂粉乳が同18％減の4億3,900万豪ドル（285億円）、全粉乳が同17％減の3億2,700万豪ドル（213億円）とそれぞれ減少が見込まれる。

図2　主要乳製品の輸出量の推移