需給動向 海外 |
2009年第1四半期から豚肉生産量は減少する見込み |
肥育豚の飼養頭数は5年半ぶりに前年同月を下回る米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2008年12月30日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、肥育豚飼養頭数は5年半ぶりに前年同月を下回り、12月1日現在の飼養頭数は6,062万7千頭となった(前年同月比2.1%減)。体重別の内訳をみると、最も小さい60ポンド(約27キログラム)未満の肥育豚の飼養頭数の減少率が特に大きく、前年同月を5.5%下回っている。よって、この区分の肉豚が出荷時期を迎える4〜5月前後のと畜頭数も同程度の減少が見込まれる。(図1)
母豚分娩頭数は7月に前年同月を下回って以降、減少幅を拡大し11月は7.3%下回った。また、12月〜2009年2月の母豚分娩見込み頭数については前回公表時(9月)から0.4ポイント下げて前年同期比3.3%減(297万1千頭)となった。さらに2009年3月〜5月の母豚分娩見込み頭数は同1.6%減(300万7千頭)と、減少率は縮小するとみている。(図2)
12月1日現在の繁殖母豚頭数は3四半期続けて前年を下回った(前年比2.4%減)。しかしながら、11月の1腹当たり子豚頭数が前年を2.6%上回るなど引き続き2%前後の伸び率にあることなどから、肥育豚頭数は、長期的に見ればこのまま減少が続くかどうか不明である。 カナダからの生体豚輸入の減少も肉豚と畜頭数減少の要因米国の肉豚と畜頭数のうち1割弱はカナダからのものである。米国が輸入する生体豚のほぼすべてがカナダからのものであるが、カナダにおいて飼養頭数が減少していること、また2008年9月から実施された米国における食肉の原産地表示の義務化を受けて、カナダからの肥育素豚の輸入は減少傾向にある。 輸入生体豚のうち3割程度を占めると場直行豚は、4月に前年を下回った以降はその減少幅を拡大させており、原産地表示が実施された10月は前年を62.4%下回っている。(図3)
一方、輸入生体豚の約7割を占める肥育素豚(50キログラム未満)は、2008年1月に前年同月を39.3%上回ったが、10月は3.3%減となっており、と場直行豚ほど顕著に減少はしていないが食肉の原産地表示に係る影響について今後の動向を注視していきたい。(図4)
2009年第1四半期の豚肉生産量は1.7%減少の見込み枝肉重量は増加傾向にあり、この10年で6.8%増加し、年平均では0.6%の増加率となっている。しかしながら、2008年では4月以降8カ月連続で前年を下回っており、11月は前年同月比0.5%減となっている。豚肉生産量の見込みについて、飼料価格が2008年6月のピーク時より3〜4割低い水準にあることから枝肉重量増加の好材料ではあるものの、生産量の減少に影響を与えるまでには至らないことから、生産量はと畜頭数の減少と同程度に減少するものと考えられる。 12月18日に公表されたUSDA経済調査局(ERS)の予測によると、2009年の豚肉生産量は前年より1.2%減少するものとし、第1四半期には前年同期を1.7%下回り、第2四半期には2.0%、そして第3四半期に1.5%下回るとしている。1月12日に公表されたUSDA世界農業観測ボード(WAOB)の予測では、母豚分娩頭数の減少から肥育豚頭数の減少が進み2009年の豚肉生産量を前年比1.4%減の230億5,400万ポンド(1,046万トン)になると下方修正している。 |
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