小麦輸出量、ロシアは前年度の3割増、ウクライナは同8倍
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が公表した世界農産物生産情報(World Agricultural Production)によると、ロシアとウクライナにおける2008/09年度(7月〜翌年6月)の小麦生産量は過去最高とされ、ロシアは前年度比28.9%増の6,370万トン、ウクライナは同86.3%増の2,590万トンが見込まれている。このこともあり、同年度の両国の小麦輸出量は過去最高となり、ロシアは前年度比30.9%増の16百万トン、ウクライナは前年度数量の8倍を上回る1千万トンが見込まれている(図1)。
図1 ロシア、ウクライナの小麦輸出量
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地理的、価格的優位性が輸出を後押し
カナダ、米国、豪州および欧州(EU27カ国)など主要な輸出国における2008/09年度の小麦需給は回復し、これらの国・地域全体の在庫量は、前年度を75.2%上回る4,940万トンと大幅に積み増されている。USDA/FASによると、この中にあって、ロシア、ウクライナが、新たな顧客を獲得しつつ輸出量を拡大させている理由として、(1)海上輸送において地理的な優位性があること、(2)小麦価格に優位性があること、(3)カザフスタンからの輸出量が減少していることで、黒海港湾施設のさらなる利用が可能になっていること−などを指摘している。
具体的には、ロシアは取引を拡大したエジプト並みに中東地域への輸出量を増加させ、ウクライナは欧州、イスラエルのほかフィリピン、韓国にも飼料向け小麦の輸出量を増加させているとしている。
主要輸出国が抱える小麦在庫により価格は抑制
USDA/FASによると、カナダ、米国、豪州および欧州などの主要輸出国が高水準の在庫を抱えていることが、潜在的に存在する小麦不足に対する緩衝材(バッファー)としての役割を果たし、このことにより、小麦の国際価格の上昇は抑えられていると指摘している(図2)。
図2 カナダ、米国、豪州およびEUの小麦在庫
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