生産調整実施の影響でひなふ化羽数は前年同期比0.1%減
ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2009年1〜6月のひなふ化羽数は、前年同期比0.1%減の26億5100万羽となった。これは、同年第1四半期を中心に国際金融危機の影響で減退した海外需要に対処するために行われた生産調整の影響が大きい。第2四半期以降は、海外需要の回復によりふ化羽数も増加に転じたものの、前年同期の水準をわずかに下回ることとなった。
また、生産量(骨付きベース)も、同3.1% 減の532万700トンとなった。このうち、国内市場には前年同期比0.7ポイント減の66.8%(344万2000トン)が向けられた。
図1 ひなふ化羽数の推移
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輸出額は前年同期比19.4%減
鶏肉輸出は特に欧州における鳥インフルエンザの発生による鶏肉需要の減退から、2006年に98年以来8年ぶりに減少に転じたものの、2007年から需要が好転し、2008年に入っても金融危機の影響が見られるまで増加傾向が持続した。
しかし、ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2009年上半期(1〜6月)の鶏肉輸出量(骨付きベース)は、主要輸出国であるサウジアラビアや香港向けなどの輸出が増加したものの、在庫を大量に抱える日本やベネズエラ、ロシア向けなどが減少したことから、前年同期比1.0%減の162万9000トンとなった。輸出形態別に見ると、パーツが全体の57.8%、丸どりが42.4%の割合となった。
輸出先別では、昨年首位であったパーツ主体の香港に代わって丸どり主体のサウジアラビアが最大となり、同33.4%増の23万トンとなった。次いで、香港(同6.5%増の22万トン)、日本(同15.6%減の16万1000トン)などと続いている。なお、新規市場の南アフリカ共和国やイラク向けなどへの輸出が増加した。
一方、輸出額については、輸出数量の減少に加え、輸出価格が同19.0%安の1トン当たり1,377ドル(12万9400円)と大幅に低下したことから、同19.4%減の22億5100万ドル(2,115億9400万円:1ドル=94円)と大幅に減少した。また、この期間における為替相場がドル安レアル高で推移したことから輸出環境は悪化し、鶏肉パッカーや生産者の収益は減少したとみられる。
図2 国別輸出量の推移
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今後、中国向け輸出を期待
このような中で、5月末に中国の衛生当局からブラジル鶏肉パッカー24社が輸出許可を得た。これは、金融危機の影響による輸出の減少などで経営が圧迫されていた同国の鶏肉パッカーなどにとって、朗報となった。業界関係者は、中国向けをはじめとしてインドネシアやマレーシア向けなどへの輸出が本格的に開始されることにより、2009年の輸出量は前年比5%増の382万7000トンとやや増加すると見込んでいる。
また、5月には国内鶏肉パッカーの第1位と第2位であるペルジゴン社とサジア社が合併し、新会社「ブラジル フーズ社」の設立が発表された。新会社の鶏肉生産量は南米諸国最大の規模であり、今後の海外市場における輸出競争力強化が期待されている。なお、今回の合併は現在、ブラジルの市場独占に係る監視当局により、国内に及ぼす影響が審査されており、正式な合併許可は今年末になる見込である。
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