2003年以来の目的である貿易協定に署名 (7)除外リスト品目については、関税削減の対象としない。 (8)フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマーおよびベトナムについては、上記(3)、(4)について異なるスケジュールを用いる。 (9)各国とも、国内事情を反映し、主要な農畜産物は除外リスト品目として関税削減の対象外としている。 人口17億人の開かれた市場の形成に期待 ASEANとインドの共同声明では、TIG協定の締結は、双方にとって世界的な経済・金融危機への懸念の増大に対して、非常に時宜を得た地域の対応策となるとの見方が示されるとともに、人口約17億人、域内GDPの合計約2兆7500億ドル(約258兆5000億円:1ドル=94円)から成る開かれた市場の形成を促進する鍵であるとの見解が示された。 また、ASEANにとってインドとの貿易は、2006年から2008年の間の伸び率が主要貿易相手国で最高の年平均28%を示す一方、相手国としては7番目にとどまっていることから、関係国は、今後TIG協定の発効に必要な国内手続きを迅速に進めていくと表明された。 さらに、最近のWTOドーハラウンドの交渉について、多国間貿易システムの強化はすべてのWTO加盟国、特に発展途上国の利益となるとした上で、2010年中のドーハラウンドの交渉妥結向けて協力するとともに、ドーハ開発アジェンダの全分野での交渉、特に農業、NAMA(非農産品市場アクセス)、サービス分野での、意欲的でバランスのとれた交渉結果を強く求めていく姿勢が改めて表明された。 ASEANのプレスリリースなどによれば、両国・地域間の貿易品約5,000品目のうち、特別産品を含む90%以上の品目(うちノーマルトラック80%、センシティブトラック10%)が関税引き下げの対象となっており、4,000品目以上の関税が2016年までに撤廃されることになる。また、原産地規則は、35%以上の付加価値基準とHS6桁レベルの関税分類変更基準を満たせば認められる。
インドは油かすや小麦、水牛肉の輸出市場の拡大に期待 インドはこの協定について、ASEAN諸国との歴史的な連携の構築と関係の強化という「ルック・イースト政策」を重視していることを示すものとしている。 インド商工省のプレスリリースによれば、2007/08年度のインド−ASEAN間の貿易は約400億(約3兆7600億円)ドルに上り、ASEANはインドの貿易額の約10%を占める、EU、米国、中国に次ぐ4番目の貿易相手国である。また、インドは2010年の対ASEANの貿易額を500億ドル(約4兆7000億円)にするという目標を掲げており、今回のTIG協定の実施は、この目標達成の一助となる。TIG協定により、タリフラインベースで80%、貿易額ベースで75%の品目について段階的に関税が撤廃されることとなるが、この協定は関係国の国内事情に応じて、ある品目を関税削減の譲許対象、撤廃対象から外すことができるという柔軟性が残されている。 インドは農産品、繊維製品、自動車、化学製品といった品目のセンシティビティを考慮して、489品目を譲許対象リストから外し、590品目を関税撤廃品目から外した。なお、ASEAN各国ともこういった例外品目リストを持っている。 この協定により、インドからは、機械や機械部品、鉄鋼、油かす、小麦、水牛肉といった農産品、自動車部品、合成繊維の輸出について、新たな市場の拡大が期待できる。また、ASEANから競争力のある価格で原材料の調達ができるようになる。 さらにTIG協定には、協定発効後の急激な輸入の増加に対処すべく、二国間のセーフガードの仕組みが規定されている。国内産業に影響が生じた場合、セーフガード税率を最長4年間賦課することができる。なお、セーフガードは、協定発効の日から7〜15年間実施可能である。 ASEAN諸国の反応は以下のとおり。 タイ:工業製品の貿易額の増加を期待 タイ通信によれば、今回の経済閣僚会議の共同議長でもあるタイのポーンティワ商務相は、今回のTIG協定の締結により、2008年には470億ドルだったASEANインド間の貿易額が、2016年までの7年以内に600億(約5兆6400億円)ドルまで増加するだろうと語った。また、タイのインドへの輸出額は、ASEAN諸国の中ではシンガポール、マレーシア、インドネシアに次ぐ4番目であり、協定が発効される2010年には100億(約9400億円)ドルになることが期待され、特に自動車部品、宝石や装飾品、通信機器、電気機器、家具や化粧品の輸出が有利になるだろうと語った。 マレーシア:貿易の拡大を期待 マレーシアのベルナマ通信によれば、同国のムスタパ・モハマド国際貿易産業相は、TIG協定により、マレーシアはノーマルトラック1で6,792タリフライン、ノーマルトラック2で1,266タリフラインがそれぞれ関税撤廃の対象となると語った。また、センシティブトラック品目として削減の対象となるのは1,336タリフラインと語った。一方、インド側は、ノーマルトラック1で7,767タリフライン、ノーマルトラック2で1,260タリフラインの関税を撤廃し、センシティブトラックで1,810タリフラインの関税を削減すると語った。 マレーシアにとってインドは12番目の貿易相手国であり、2008年の貿易額は3503億リンギ(約9兆4581億円:1リンギ=27円)だった。2009年1〜5月には1053億リンギ(約2兆8431億円)だったが、ムスタパ産業相は、関税撤廃・削減により、両国間の貿易の増加が見込まれるとともに、インドに活動の場を広げているマレーシアの投資家が、マレーシアやほかのASEAN諸国から原材料を調達できるようになると語った。 シンガポール:原産地規則の選択の幅が広がることに期待 インドネシア:パーム油や石炭の貿易額の増加を期待 |
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