1月のフィードロット出荷頭数は前年同月比2.1%増
米国農務省全国統計局(USDA/NASS)が2月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、1月のフィードロット(収容能力1,000頭以上)への導入頭数は前年同月比1.8%減の182万5千頭となった。
一方、1月のフィードロットからの出荷頭数は前年同月比2.1%増の177万4千頭となり、昨年11月から3カ月連続して増加した。1月の出荷頭数が増加した理由としては、年明けの大雪などの天候不順により肥育牛の増体が悪化したことから、牛肉供給量を確保しようとする食肉パッカーが多くの肥育牛を購入したことなどが考えられる。
フィードロットへの導入頭数が減少する一方、出荷頭数が増加したため、2月の飼養頭数は前年比2.6%減の1098万9千頭となった。フィードロットの飼養頭数は、昨年の10、11月を除いて、2008年5月以降前年を下回る状態が続いており、2月のフィードロット収容可能頭数に対する稼動率は65.4%と前年同月の67.6%より2.2ポイント低下している。なお、前回のキャトルサイクルの底にあたる2003年にも同水準の低い稼働率が認められるが、今後も牛群が縮小することを踏まえれば、稼働率はさらに低下を続ける可能性がある。
図1 フィードロット収容可能頭数に対する稼働率の推移
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生産量は前年を下回る
USDA経済調査局(USDA/ERS)が2月24日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2010年第1四半期の出荷頭数は、昨年第3四半期にフィードロットへの導入頭数が前四半期に比べ37.5%増加したことや同年第4四半期の導入頭数が前四半期より7.9%減少したことから、第2四半期と比べ多くなると推測されている。また、2010年の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、前年比1.2%減の1163万5千トンと予測されているが、この理由として、フィードロットの飼養規模が縮小していることや、今年の出荷体重が記録的に増加した昨年と比べ減少が見込まれていることなどが考えられる。なお、2010年1月時点で、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州において冬季放牧されている子牛頭数が前年と比べ16.4%増加しており、さらに、飼料となる冬小麦の状態も良好なことから、3月中旬から5月にかけてのフィードロットへの導入は、昨年より体重の重い肥育素牛が増加するものと推測されている。このため、それらが肥育牛として出荷される2010年の第3四半期は他の期間と比較して生産量が増加することが見込まれている。
2010年の肥育牛価格は回復する見込み
1月の肥育牛価格(チョイス級、1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ)は、パッカーの購買意欲が旺盛であったことから前年同月比2.3%増の100ポンド当たり83.5ドル(キログラム当たり約166円:1ドル=90円)、2月も、1月の出荷増加により2月の出荷が抑制されたことなどから、同9.7%高の同87.41ドル(約173円)と堅調に推移した。また、2月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー)は前年同月比5.3%高の100ポンド当たり143.2ドル(キログラム当たり約284円)と13カ月ぶりに前年を上回った。
2010年の肥育牛価格について、USDA/ERSは生産規模が縮小することなどから回復に向かうと予測しているが、規模の縮小による施設の稼働率低下は、依然として肥育業者にとって頭の痛い課題となるであろう。
図2 肥育牛と牛肉卸売価格の推移
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