需給動向 海外

◆ブラジル◆

2009年の鶏肉輸出、量はほぼ前年並みも金額は大幅減


◇絵でみる需給動向◇


鶏肉生産量は前年比0.8%減

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、2009年のひなふ化羽数は、2008年9月以降の国際金融危機による海外市場の冷え込みを受け減少が懸念されたが、2009年6月に中国がブラジルの鶏肉処理施設に対して認定許可を行ったことから中国向け輸出の増加が期待されたため、前年比3.1%増の約56億4010万羽となり、2007年から増加傾向が継続した。また、月間平均ふ化羽数も、同3.1%増の4億7000万羽となった。

 しかし、生産量(骨付きベース)は、海外市場の冷え込みおよび国内消費の減少を受け、過去最高であった2008年(1103万3000トン)から0.8%減の約1094万5000トンとなった。なお、国内市場には69.0%となる755万2000トンが向けられた。
図8 ひなふ化羽数の推移

鶏肉輸出金額は前年比25.2%減

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、鶏肉輸出は2006年に欧州での鳥インフルエンザの発生による鶏肉需要の減退などから、98年以来8年ぶりに減少に転じたものの、2007年から需要が好転し、2008年に入っても国際金融危機の影響を受けるまで増加傾向で推移した。

 しかし、2009年の鶏肉輸出量(骨付きベース)は、主要輸出先であるサウジアラビアや香港などで増加したものの、2008年の最大の輸出先であった日本やべネズエラ、ロシアなどで同危機の影響を受け減少したことから、過去最高であった2008年(326万8000トン)から0.1%減の約326万6000トンとなった。形態別では、パーツが全体の57.2%、丸どりが42.8%の割合となった。

 輸出先別では、サウジアラビア(丸どり主体)が前年比24.4%増の約49万3000トンとなり、日本(パーツ主体)を抜いて第1位となった。次いで、香港(同2.9%増、42万7000トン。パーツ主体)、第3位には、国内に大量の在庫を抱えていたことに加え、国際金融危機の影響を受けた日本(同27.1%減、30万7000トン)となった。なお、ベネズエラは、同危機の影響により石油価格が大幅に下落したことなどから、同47.9%減の16万5000トンとなっている。

 輸出金額については、単価の高い冷凍パーツを中心に輸出してきた日本、ロシア向けの需要が同危機の影響を受け弱まり、平均輸出価格が前年比25.1%安のトン当たり1,334ドル(約12万円:1ドル=90円)と大幅に低下したことから、前年比25.2%減の約43億6000万ドル(約3924億円)と大幅に減少した。さらに、為替相場が全体的にドル安レアル高傾向で推移したため、輸出環境がさらに悪化することとなり、鶏肉パッカーや生産者の収益は前年よりも減少したとみられる。

図9 国別輸出量の推移
業界団体は、2010年の輸出量を前年比5%増と期待

 ブラジル鶏肉生産輸出業者業界(ABFF)によると、2010年1月の輸出は、中東諸国向けで増加したものの、引き続きベネズエラ向けで減少したことなどから、数量で前年同月比15.1%減の約23万3000トン、金額で同2.8%減の4億260万ドル(362億3000万円)となった。しかし、ABFF関係者は2010年の輸出量について、(1)日本の国内鶏肉在庫が減少していること、(2)2010年のロシアのブラジル産鶏肉の関税割当枠が前年よりも増加したこと、(3)インドで鶏肉の輸入関税引き下げが見込まれること−などから、前年比5%増の約342万9000トンになるのではと期待している。

 一方、ブラジル最大の鶏肉パッカー、ブラジル・フーズ社の関係者は、輸出量については上記のように期待できるものの、金額べースでは国際金融危機以前の水準に戻るのは2011年になると見込んでいる。同社は、今後の新規市場としてアフリカ諸国を重視しており、また、中国向けについても、現在のシェア(3%)から、2011年には10%程度になるとしている。

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